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太陽系の中には、無数の「小惑星」と呼ばれる天体が存在します。多くは火星軌道と木星軌道の中間に位置し、地球や木星のようないわゆる「惑星」と同じように太陽の周りを回っています。 大きさは、一番大きいケレスが直径約1000km(ちなみに地球は直径約13,000km)で、多くは数十km〜数百kmです(それより小さいものも当然あるのでしょうが、暗くて見つけられないんでしょうねー)。
そんな小さく暗い小惑星ですが、時折恒星と丁度重なって恒星を隠すことがあるのです。このときは、つまり恒星による小惑星の「影」が地球に落ちていることになり、この影の中でこの現象が見られることになります。 さて、小惑星に比べると恒星は非常に遠くにあるため、その光線は平行に地球に届きます。従って地球上には、ほとんど小惑星の大きさ・形の影ができることになります。つまりこれは数十km〜数百kmの帯となるわけです。従って一つのこの現象が見られる地域は、非常に限られていることになります。
では、実際にはどのように見えるのでしょうか。隠される恒星が小惑星より明るいとき、このときは恒星の明るさが小惑星の明るさに減光して見られます。小惑星の明るさが見えないほどに暗いときには、その瞬間、まさに恒星が消えたかのように見られます。また、恒星と小惑星の明るさがほぼ同じ時でも、食が起こる寸前・直後には二つの星が接近して、それぞれの単独の明るさよりは明るく(合成光度)見られますので、食の瞬間には若干減光して観測できます。
このような現象が観測されると、その減光時間から、小惑星の大きさが推定できることになります。できれば、複数の地点で観測ができると、さらに詳しい情報が(例えば楕円形であるとか)得られることになります。
これらの現象は、小惑星の軌道から計算されますが、この軌道の数値データには誤差が若干含まれます。また、隠される恒星の方の位置にも若干の誤差がありまして、食が見られる地域を正確に予報することはなかなか困難です(だいたいですが、日本の中心部で食が予報されてる場合でも、日本の北端〜日本の南端まで誤差が及ぶことが大半です)。このため、この現象が観測されること自体が非常に珍しいことになります。
こんななかなか見られない現象ですが、恒星の明るさが9等台くらいまでは、府中の空でも15cmクラスの望遠鏡で観測が可能なので、怪鳥は時折観測をしている訳です。