当日は1時間前まではどん曇りの空でしたが、その後回復し、1.9等のγ星は肉眼でも明るく見られました。集まった者は各々肉眼と、観測用のテレビモニタをにらんで現象時刻を待ちました。
そしてJJYを聞きながら間もなく21時になるという時、冬の明るい星座が輝く空の中で、この星だけが突然消えました。集まった者はみんな歓声とも悲鳴ともつかぬような声をあげて驚き、そしてあっという間にまた現れるのを目撃しました。
「5秒くらいだったかなぁ」と言う声の中、しばらく録画を続けた後ビデオを再生。その減光時刻は約10秒もありました。やはり時間は短く感じるもの?
こうして当会にとって初めて挑戦した小惑星による恒星の食の観測は、なんと一度目にしてビデオにまで収めるという大成功を果たしたのでした。
なお、この現象は当会の他にも関東周辺各地で観測され、佐藤勲さん、相馬充さん、広瀬敏夫さんにより観測がまとめられ、小惑星がほぼ楕円の断面をしていたことが判明しました。また当会では観測できませんでしたが、一部では伴星(約7.5等)の出現が捉えられたようです。この結果は論文としてまとめられ、Astronomical Journal Vol.105 No.4(1993) p.1553に掲載されました。
潜入 20h59m48.8s
潜入前
↓
潜入後
出現 20h59m57.7s
出現前
↓
出現中間
↓
出現後
(以上、継続時間、8.9秒)
なお、ビデオでは潜入時・出現時とも1〜2コマの中間光度が見られます(上の画像ではキャプチャ時の都合で出現時だけ示してあります)。これが現象によるものか、I.I.等の機材によるものかは微妙です。