以下は事前の情報です。
パラスはこの日、見かけ上この恒星に近づくように移動します。隠される直前は恒星とパラスがごく接近しているため、光度が合成され7.4等の1つの星のように見られます。現象が起こると、かくしたパラスの8.9等まで約1.5等暗くなります。現象が終われば、また約1.5等増光して見られることになります。継続時間は、最大(予報帯の中心)で約18.5秒と推定されてます。
食が見られる範囲は、北海道南西部・東北〜北関東・新潟県と予報されてます。パラスは4大小惑星の一つで、直径も約523kmと大きいため、地表に投影された(恒星による)影の経路も幅広く、東日本の広範囲で見られる可能性があります。
なお、小惑星による食は、小惑星・恒星それぞれの位置精度により、角度で1"程度ずれることもありますが(図中の点線の範囲)、過去の同様の現象からパラスの位置精度から0.1"程度(南北に約200km)ずれる可能性は考えられるとのことです。このため境界付近では予報範囲に入っていても見られないケースや、その逆のケースもあり得ます。
例えば東京都内は予報範囲外にあたりますが、南側に範囲ずれたときに現象が観測できる可能性があることになります。
現象の予報(広瀬氏による) 現象日時:1999年10月2日(土) 現象時刻:28時05分頃より最大18.5秒間 恒星 :HIP 35217=SAO 152651= PPM 218425 (7.7等) 小惑星 :(2)Pallas パラス(8.9等) 直径:523km(0.326秒) 距離:2.212859 AU(π=3.974秒) 移動速度:1.06秒/分(P=120.87度) 合(赤経):19時06分48.2秒(U.T) 減光等級:1.5等
一般的な観測方法は、望遠鏡に恒星をあらかじめ導入しておき、予報時刻の前後10分ほど恒星を監視する方法です。恒星が暗くなった時刻と、元に戻った時刻をそれぞれ測定します。今回の場合は4:00〜4:10の10分間ほど監視することになります。
時刻の測定には、テープレコーダを用意して短波放送のJJY(5.0MHz、8.0MHz、10.0MHz)と自分の声を一緒に録音するのが一般的な方法です。光度が暗くなったときと元に戻ったときに声をあげ、テープに録音します。あとで再生し、声のあがった時刻をできるだけ正確に(0.1秒〜0.2秒の精度で)測定します(なお、境界線付近では、2度以上の減光・増光が観測される可能性もあります)。
NTTの時報(117)も同様に利用できます。ただし10分程で切れてしまうので、例えば以下の方法で利用します。公衆電話はOKですが、携帯電話、PHSは不規則なタイムラグがあるため、不適当です。
その他の方法でも、正確な時刻さえ測定できれば構いません。 また、観測地の北緯・東経・標高はできるだけ詳細にできるよう、地図上の位置を正確に記録して下さい。国土地理院発行の2万5千分の1地勢図を利用するのが一般的ですが、手元にない場合はできる限り詳細に記録されているだけでも結構です。GPSの場合は、D-GPSによるデータ以外は、誤差が大きくなるためご注意下さい。
なお、当会では北関東のどこかで観測する予定にしています。