3月4日の小惑星による恒星の食


国立天文台・相馬充氏による直前情報


<現象の概要>

 3月4日夜、小惑星Simeisa(14.6等)が、しし座の4.4等の恒星をかくすという現象が予報されてます。今年予報されている小惑星による恒星の食現象の中では、隠される恒星の光度が最も明るく、観測しやすい現象です。

 もしこの現象が起きると、4.4等の恒星が、小惑星の明るさの14.6等まで暗くなり、恒星が最大約7.6秒間消えたように見えることでしょう。月が近いので、市街地では肉眼では難しいでしょうが、双眼鏡や小口径の望遠鏡で確認できると思われます。

小惑星名 No.748 Simeisa (光度 = 14.6等)
恒星名  HIP 56647(光度 = 4.4等)
予報日時 1999年3月4日 21時24分頃(日本時)
継続時間 最大7.6秒(これより長くなることも、短くなることもあります。)
 なお、今年起こる小惑星による恒星の食の一覧はこちらにあります。また、本現象のページはこちらになります。合わせてご参照下さい。


<見られる範囲>

 この現象が見られるのは、小惑星の推定の大きさとほぼ同じ約100kmの幅の中に限られます。上述のページに経路図が届いてませんので、天文ソフト「GUIDE」(Project Pluto)による経路図を下に掲載します。


 この予報によりますと、見られる範囲は関東から北陸地方を抜ける範囲で見られることになります。

 実際には恒星の位置と小惑星の位置に誤差が含まれるため、見られる範囲は図の経路よりも南北にずれることが常です。ただし、日本中のどこかでは見られる可能性が高いと思われますので、より多くの地点での観測が望まれます。

 もし複数の地点で現象が観測されれば、小惑星の大きさ・形などが推定されることになります。

※「GUIDE」の制作元であるProject Plutoのホームページはこちらです。また当会甲田さんのページには、GUIDEの解説の日本語版のページが掲載されてます。




なお、ダナム氏による直前情報を左図に図示しました。
上記の初期予報よりも、北側にずれた模様です。

(FLand-Aleによって図示しました。
 図では線状ですが、実際には100km程の幅があります。)


<観測の方法>

 現象予報の前後10〜20分ほど(例:今回の場合は21:15頃〜21:30頃)、恒星に注目して現象が起きたかどうか(星が消えたかどうか)を監視し、現象の時刻を測定します。

 時刻の測定には、テープレコーダを用意して短波放送のJJY(5.0MHz、8.0MHz、10.0MHz)と自分の声を一緒に録音するのが一般的な方法です。恒星が消えたときと恒星が出てきたときに声をあげ、テープに録音します。あとで再生し、声のあがった時刻をできるだけ正確に(0.1秒〜0.2秒の精度で)測定します。

 NTTの時報(117)も同様に利用できます。ただし10分程で切れてしまうので以下の方法をお薦めします。

  1. 21:15から1分間、NTTの117時報を録音する。以降、テープはそのまま回してずっと録音状態にしておく。(※携帯電話、PHSは不可です。自宅以外の場合は公衆電話を利用するようにして、その近くでの観測を推奨します。)
  2. テープレコーダーをそのまま回したまま屋外に出て、観測対象星を確認し、そのまま双眼鏡などで観測する体勢に入る。
  3. 21:20〜21:28、対象星を監視し、現象が起きたら(星が消えたとき、星が出てきたときに)声をテープに吹き込んで記録する。(声は、あとで聞いて分かればどんなものでも結構です。)
  4. 21:30から1分間、NTTの117時報を録音する。
  5. テープレコーダーを止める(ここまでは回しっぱなしです)。

     

    ※その後の情報を総合すると、21:22〜21:26の4分間の観測で充分なようです。

    (この方法はメーリングリスト「JOIN」メンバーで東北大学天文同好会の山本真行さんの文章を参考に作成させて頂きました。)  その他の方法でも、正確な時刻さえ測定できれば構いません。


    <恒星の位置>

     恒星の位置は下の星図の通りです。
     (図はStellaNavigator,AstroArts/ASCIIを加工して作成しました。)


    <観測報告>

     観測報告は、もし私宛(こちら)に頂ければ、掩蔽観測のメーリングリスト「JOIN」を通じてご報告させて頂きます。
     現象が観測できた場合には、折り返しさらに詳しい情報(観測地点の詳細など)を伺うかもしれませんが、ご了承下さい。
     また現象が起こらず、星がずっと見えていた場合も、よろしかったら見えなかった旨ご報告下さい。他の地点で観測された場合、食の限界線の判定に使用される可能性があります。

     なお、当方は府中の自宅で観測予定でしたが、あいにくの曇天で観測できませんでしたた。なお、東北大学天文同好会により、2名(1地点)が観測に成功しました。おめでとうございます。


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