12月10日夜から11日未明にかけて、全国で皆既月食が見られます。こちらの情報です。
満月が、みるみるうちに欠けていくように見える現象、それが月食です。もちろん、本当に月の形が変わってしまうわけではなく、地球の影のいたずらです。月食の時は、太陽−地球−月が一直線に並び、地球の影の中を月が通過していきます。この影が月面に映り、まるで月が欠けたかのように見えるのです。月の一部だけが影に入っている時を「部分月食」、全部が影に入った時を「皆既月食」と言います。
12月10日の月食は、21時45分に始まります。それから約1時間20分間、部分月食が続きます。そして23時6分、月が完全に影に入り皆既月食となります。
皆既月食は23時58分まで52分間続きます。この後は、再び部分月食となり、日付が変わって11日の1時18分、月が影から離れて月食が終わり、まん丸い満月の状態に戻ります。
月食は、特別な道具がなくても肉眼で観察できます。また今回は、図のように空の高いところに月が見えますので、よほど高いビルでも隣にない限り、どんな場所でも観察できるでしょう。
※月の位置は府中での見え方です。
※それぞれの現象が起こる時刻は、全国どこで見ても同じです。
皆既月食の時には、月が完全に真っ暗になるかと思うと、そうではありません。これは地球の大気の影響です。太陽光が地球の大気を通過するとき、大気中に漂うチリや水の小さな粒子などによって、光が散乱してしまいます。このとき、赤い光は散乱されづらいので、弱まりながらも大気の中を通過するのです(夕日や朝日が赤く見えるのは、このためです)。また、太陽光が地球の大気の中を通過するときには、ほんの少しだけ経路が曲がります(屈折)。こうして、地球の影の中に、弱まった赤い光が入り込むのです。この光によって、皆既月食の時の月面がほのかに赤く照らされ、「赤銅色」と表現されるような、暗い赤色に見えるのです。
ただこの色は、皆既月食の度に異なります。地球の大気中を漂うチリの量が変化するからです。大規模な火山の噴火があって、チリや噴出ガスが多い時には、赤い光も届かず暗い月食になります。逆に大気がきれいな時には、赤の光だけでなく黄色い光も届くようになり、明るめのオレンジ色の月食になります。
※数字は、ダンジョンさんという天文学者が考案した、皆既月食時の月面の色の尺度です。
※見本の色は、怪鳥が作成しました。