IAUC No.7052によれば、17日の14時頃(日本時)、大西洋のカナリー諸島のラパルマ島で1時間あたり2000個を観測したグループがいるそうです。現段階では、この報告が最も多く流れた観測のようですが、実際には一人あたりの数ではなく、1時間あたり数百程度ではないかという意見が出てきました。
IMOの集計ページによれば、17日の11時頃(日本時)にZHRで500程度が最大ということになります。
このIMOのページのデータでは、一度目の極大が上記のように17日の11時頃(日本時)に起こり、その後一度下火になったあと、予想された極大近くの18日5時に2度目の(1度目よりやや少な目の)極大が来たように読みとれます。いずれにしても、1時間に数千というような規模の流星雨は、世界的に見ても起こらなかったのではないかという印象です。
一方、しし座流星群の日本での関心は非常に高かったようです。当会が観測した場所も普段はまばらにしか観測者がいない場所でしたが、信じられないくらいの人が殺到し、お祭り騒ぎになってました。
晴天に恵まれた関東の市街地でも、少ないながらも明るい流星が目撃され、多くのの方が自宅付近でもしし座流星群を楽しんだようです。
また、4時14分頃に流れた約-8等大火球は、5分以上も続く永続痕が見られ、関東や静岡・山梨などで話題になってます。痕の写真は、当会でも撮影されてますので、後日掲載いたします。
1998.11.17〜18 Time min Ls h Lm Cl All Leo HR CHR ZHR Obs. --------------+--+-------+-----+----+--+---+---+----+----+-----+------------ 23h00m-23h30m 30 235.05 3.0 6.3 0 10 2 4 4 363 佐藤幹哉 23h30m-24h00m 30 235.07 8.7 6.1 1 6 2 4 5 92 妹尾英樹 24h00m-24h30m 30 235.09 14.5 6.1 2 19 11 22 33 266 寺久保一巳 24h30m-25h00m 30 235.11 20.4 5.4 2 9 8 16 34 163 小林勝之 25h00m-25h30m 30 235.13 26.4 5.2 2 18 10 20 46 155 田中静香 25h30m-26h00m 30 235.15 32.5 5.3 0 18 12 24 42 107 菊地信哉 26h00m-26h30m 30 235.18 38.6 5.6 0 35 20 40 61 124 西野享 26h30m-27h00m 30 235.20 44.7 5.1 3 *1 18 36 99 168 泉本博樹 27h00m-27h30m 30 235.22 50.8 5.3 2 *1 32 64 141 206 吉村則子 27h30m-28h00m 30 235.24 56.8 5.6 5 *1 31 62 189 247 中村清英 28h00m-28h30m 30 235.26 62.6 5.7 5 *1 32 64 186 223 佐藤幹哉 28h30m-29h00m 30 235.28 68.1 5.3 5 *1 27 54 190 212 寺久保一巳 29h00m-29h10m 10 235.29 71.3 *2 9 *1 7 42 --- --- 伊木悟左から、開始-終了時刻(Time)、観測時間(min)、太陽黄経(Ls,2000)、輻射点高度(h)、最微星光度(Lm)、雲量(Cl)、全流星数(All)、しし群流星数(Leo)、一時間当たりの流星数(HR)、修正一時間流星数(CHR)、天頂修正流星数(ZHR)、観測者(Obs.)です。
途中からしし群の流星が増えたため、流星雨に備えて群流星のみ観測しました(*1)。
また27時30分頃(18日3時半)より雲が多くなり、雲量で5(全天の半分)となりました。29時過ぎは雲量がほぼ9となり、最微星光度が計測できなくなったため、参考データ(*2)です。
極大日当日、しし座流星群は23時前に長経路の流星が一つ流れ、そこから出現が始まりました。23時台から24時台は輻射点の高度が低かったため、数はあまり多くありませんでしたが、少し赤みを帯びて明るく、流星痕を残しかつ経路の長い流星が目立ちました。
25時を過ぎて、しし群らしい速い流星が増加し、流星数も増えてきました。その後27時から29時にかけて、1時間あたり60個以上のペースで流れ続けましたが、大流星雨になることはなく、そのまま夜明けを迎えました。
左のグラフは、輻射点高度や最微星光度、雲量を補正した推定1時間あたりの流星数(ZHR)の推移です。
輻射点の低い23時〜25時は補正の度合いが大きくなり、誤差も多いですが、一応徐々に少なくなる傾向という結果になりました。
その後は増加に転じ、27時頃にはZHRで250に達しましたが、頭打ちとなり、流星雨に達することなく、夜明けを迎えました。
当会のこのグラフだけならば、前半では、速報にあったような大西洋で見られた大出現のピークの最後を観測し、その後一般的な予想にあった極大に向けて若干増加していった、ということにも見えます。しかし実際には、日本中、そして世界中の観測データが集計されて、今後多くのことがわかってくることでしょう。
なお、期待が多かっただけに、私を含め天文ファンの間では落胆ムードですが、昨年に比べると2〜3倍程度活発な出現をしており、ここ過去20年ほどの中では最も活動的であったと言えます。
なお、当会では写真撮影やビデオによる撮影も行いました。こちらも怪鳥に届き次第、ご紹介したいと思います。
また当会近藤氏、竹本氏によるビデオ撮影画像は、日本テレビ系の報道番組に使用されました。今後も竹本氏の会社を通じて広く利用されることと思いますので、判明次第、宣伝させていただきます。
画像撮影:株式会社ゼロ(当会竹本氏)
注:表示時刻は約9秒遅れてます。
なおこの火球ですが、日本流星研究会の関口さんによると、伊豆半島伊東沖東・大島沖北の上空高度約177kmから、沼津市の上空高度約78kmまで、飛来したと思われます。
以下は当会メンバーによるこの火球と永続痕の映像です。
・株式会社ゼロ(当会竹本氏)撮影の火球と痕のビデオからの映像
・当会寺久保氏撮影の永続痕の連続写真
・当会吉村氏撮影の永続痕の写真
・渡部さんの「98年しし座流星群[速報版]」
・KIDさんの「しし座流星群98」
他の地点から観測されたプロット図もあります。
・からけんさんの「あすとろあすなろ」(痕の連続GIF画像)
・岡田さんの「1998年 しし座流星群」
・鈴木さんの痕のCCDによる連続撮影
・御殿場星の会の中の「天体写真ギャラリー(Part II)」
・茅野星夜会の「しし座流星群の写真」
・都立国立高校地学部の「天体写真集」(永続痕)
怪鳥の後輩たちにあたります。
・国立天文台の「1998年の『しし座流星群』の出現状況などについての情報」
・横浜こども科学館の「しし座流星群ガイド」
・AstroArtsの「しし座流星群速報」
・名古屋市科学館の「しし座流星群」
・葛飾区郷土と天文の博物館の「1998年の『しし座流星群』」