しし群の極大について

 しし群の極大(最も多く流星が流れる時)について、怪鳥なりの見解です。
 なんで18日4時に極大が来るのかな?という方は、どうぞ。


流星群の極大の予想はできないのか?

 昨今、「流星群の極大の予想は難しいので」という逃げ文句が多用されてますが、本当にそうなのでしょうか?
 例えば今年10月の
ジャコビニ群。一般的に極大時刻は外れた、とされてますが、私の知る限り、積極的に予想した方の極大は10月8日の22時〜23時に集中していて、ほとんど当たっていたと言うのが現実です。
 つまり「流星群の極大の予想は難しいので」というのは、実際に研究している方が使っているか、そうでない方が使っているか、で性質が異なるのです。

しし群極大が18日4時である理由・その1

 一般的な流星群では、流星の元の物質を放出した母天体の軌道の昇交点または降交点の黄経で極大を迎えると言われてます。簡単に言うと、母天体の軌道面と地球との交差点が極大になることが多いという経験論からです。
 この交差点の位置は「太陽黄経」という数値で表されます。しし群の母天体のテンペル・タットル彗星の昇交点の黄経は235.26度(2000.0年分点)です。今年この場所を地球が通過するのは、11月18日4時過ぎ(日本時)になります。単純に考えた場合は、この時刻が極大になるというわけです。一般的にはこの数字だけが先走りしてます。

太陽黄経計算はこのページでできます。試してみましょう。

ジャコビニ群の極大が外れた予想と当たった予想

 しかし今年10月のジャコビニ群では外れました。母天体ジャコビニ・チンナー彗星の昇交点黄経は195.40度でしたが、極大は195.07〜08で観測されたのでした。これは、流星の元になる物質は、彗星軌道とは違う軌道を描いていたため、と解釈されます。
 つまりこの彗星軌道との交差点(昇交点黄経)の位置だけで予想した人は外れ、流星の元になる物質の軌道まで推定できた人の予想は当たったということになるのでした。

しし群極大が18日4時である理由・その2

 では、しし群の場合はどうなるかと言うことになります。しし群の母天体であるテンペル・タットル彗星の軌道やその放出された塵(流星物質)は、ジャコビニ群とその母天体の場合と比較して、あまり軌道が変化しないのです。ジャコビニ群の母天体が、主に木星の重力の影響で頻繁に軌道を変えることに比べると、テンペル・タットル彗星は木星などの影響が非常に小さいのです。
 したがってこのような状況をふまえ、母天体と流星物質の軌道の違いを考慮したような予想でも、極大は18日の2時〜6時くらいに集中しています。
 つまり、しし群の場合は、この時刻に極大を迎える可能性は高いと推定できるのです。

少なくとも18日4時±2時間に一つの極大

 怪鳥なりに計算した結果では、100年ほど前に放出された流星物質ならば、ほぼ上記予想の時刻あたりで極大を迎えそうです。世界の研究者の大半が予想してるのですから、少なくとも一つの極大はこの時間帯にあると言えるでしょう。
 ただし、その極大が流星雨となるような極大になるかまでは、不明です。しかしこのような出現数の予報も、今回の流星の流れ方と予想を付き合わせた結果、将来的には予想ができるようになるのかもしれません。

それでも極大は外れるかもしれない

 とは言うものの、流星物質は流星となって地球の大気の中で光るまでは、ほぼ観測ができません。太陽系の空間の中での分布を正確に観測できるようになるまでは、完璧な「予報」は不可能でしょう。
 さらに、しし群は1,000年も前の昔から流星雨を降らしてきてます。このようなはるか昔に放出された流星物質の砂粒にたまたま密な部分があり、今年たまたまその物質の流れに地球が飛び込んで流星雨となるような場合は、前述までの範囲を超えてます。ここまでさかのぼって研究し結果を出してる方はいないので、その場合は極大が大外れする可能性があります。また今年は、そういうことも起こりやすい年であることも間違いないです。
 また、木星などの惑星の重力の影響では説明できない要因で、彗星軌道と流星物質の軌道が離されているのではないかという研究もあります。この場合の極大の予報は非常に困難となります。


結論

 以上のようなことから、結論を出せば、次のようになります。  ということになります。

 ちなみに、4時(日本時)という時刻は、日本でしし群を観測するには絶好の条件です。
 ただここで述べたような要素や、あるいは他の要素などが絡み合って、日本では観測できない時刻に大流星雨が見られるのかもしれません。いずれにしてもそれを実際に確認できるのは、今年この現象に臨むことのできる観測者に限られるのです。

 と、長々となりましたが、こんな極大予想のからくりをふまえた上で、可能性が高いとされている流星雨を期待して、今年はみんな見ましょう!という、今年のしし座流星群なのでした。

 ちなみに、日本でしし群が観測できるのは、輻射点があるしし座が上ってくる頃〜明け方で、関東ではおよそ23時〜5時過ぎになります。ぜひ予想通り、この時間中に極大が来て、あげくには流星雨となってくれれば、と祈る怪鳥なのでした。

 あとは天気が全国的に晴れてくれることも祈ってます。


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