飛行機移動にしなくてよかった

 当会寺久保氏による、今年のしし群のエッセイです。


飛行機移動にしなくてよかった

                  寺久保一巳

何しに行くのか?宮古島・八丈島

世紀の大出現!?が期待される「しし座流星群」。見るために特別な道具が何もいらないとはいえ、晴れているところに行けなくてはさすがの流星も見ることができない。ということで、当日はとにかく晴れているところまで移動することができるよう、陸路は当然として空路まで視野に入れた観測準備を進めていた。極大日3日前、全国的に極大日(17日夜)の天気が思わしくなく、関東近辺の天候も怪しい。そこでかねてから計画してあった、空路での移動計画を発動することにした。その計画とは…

航空券の購入には「予約」と「購入」の2段階があるが、「予約」だけでは費用が一切かからない。一定期間内に予約してあるチケットの引き替え(購入)をしないとその予約は取り消されてしまうが、全日空の場合は3日前以降の予約は当日まで有効なため、当日までは費用をかけずにチケットをとっておく事ができる。今回17日の3日前、14日の時点では幹線の便はおおむね空席があるものの、離島便の残席が少なくなっていた。私たち(今回飛行機移動を考慮していたのは私だけではなく他に3人もいた)は、ほとんど使う予定はないものの残席僅少になっていた「羽田発那覇経由宮古島行き」の便と「羽田発八丈島行き」の便の予約を済ませたのだった。その他「福岡」や「千歳」行きもターゲットになっていたが、席に余裕がありそうなのでこの時点では予約しなかった(それに北海道は寒いし…)

結局観測地はいつものところ

結局関東周辺でも夜半前からの天気の回復が見込まれることになったため、飛行機はそのまま放っておいて車で移動することにした(放っておくと自動的にキャンセルとなる…すいません全日空さん2度としません)。晴れ間を目指してどこまでも移動できるように、時間に余裕を持たせ過ぎていたため観測予定地には日の入り前に到着。こんな時間なので、他に人はほとんどいない。これは落ち着いて観測ができるぞ、よろこんでいたのもつかの間…。

駐車場には車車車、広場には人人人

23時に観測開始。長経路の明るい流星が出、歓声が上がるが…数が今ひとつ増えていかない。断片的ながら今朝方(17日朝)に活発な活動があったことや、昼にヨーロッパやアメリカでHR数百規模の大出現があったらしいことを聞いていたため「もしかしたら極大はもう終わってしまったか」といういやな予感が頭をよぎる。なんにせよ観測で決着をつけるのが先決、と数の増えない流星に数えていると…。「ん、あちらで光ったような」「反対側も何か明るくなったぞ」「こ、この光はまさか」…気がつくと観測場所の広場のあちこちに人が大出現。流れる流星の数よりやってくる人の数の方が多いような気がする。その数は100人を下らない。この状態になると、空を見上げていなくても流星の流れているのが分かる。「あ、流れた」「きゃーすごーい」「うわーきれい」…数百人の団体計測状態である。こんな状態なので、落ち着いて観測できるという訳にはいかなかったが、早い時間から場所取りをしていたのが効を奏したか、大きな混乱をすることはなく観測を終えることができた。

観測結果は?…聞くだけやぼというもので…

火球、永続痕、長経路の流星etc.それなりに楽しい観測とはなった。「出現数」という一点を除いては。まあこれ以上言うのは落ち込むだけだから、観測についてはこれぐらいにしておく。観測としては少々不本意な結果に終わった今年のしし座流星群だったが、「社会現象」として見れば十分おもしろい現象だったのではないだろうか。まさか(いつもは人のほとんどいない)こんな場所に数百人もの人が押し掛けるとは夢にも思わなかったし、帰りの高速道路が「しし群渋滞」するなんてのも思いもしなかった。経済波及効果もあったようだし、これで日本経済も回復基調にのる…ことはないか。

おわり


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