2002年のしし座流星群の情報

 11月19日頃に極大を迎えるしし座流星群(しし群)の情報です。
 今年の日本での条件はよくありません。


●観測速報その2

当会の11/19〜20の観測速報です。

Nov.19-20/2002
Time          min   Ls      h    Lm  Cl All Leo   HR  CHR  ZHR   Obs.        Rec.
--------------+--+-------+-----+----+--+---+---+----+----+-----+------------+------------
23h00m-23h30m  30  237.04   3.8  3.7  0   0   0    0    0    0  寺久保 一巳 佐藤 智子
23h30m-24h00m  30  237.06   9.4  4.0  0   3   2    4   13  195  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
00h00m-00h30m  30  237.08  15.2  4.0  0   5   3    6   19  144  佐藤 智子   佐藤 幹哉

 この晩の観測は、19時半頃(日本時)に起こったであろうアメリカでの流星雨が、静まる直前の活発な状況を、ギリギリ日本から捉えられるか、という点がポイントでした。
 しし座流星群の輻射点がのぼってくる23時より観測を開始しましたが、残念ながらあまり活発な流星活動を捉えることができませんでした。月明かりがあり、暗い流星がほとんど見えない中での観測でしたので、もし暗い流星による活発な活動があったとすれば、残念ながら捉えきれていないと思われます。
 1時間あたりの流星数は5個前後でした(早めに観測を打ち切ったので、その後の様子はわかりません)。輻射点の高度が低いため、ZHR値は大きくなってしまってますが、過修正の値です。


●観測速報その1

当会の11/18〜19の観測速報です。

Nov.18-19/2002
Time          min   Ls      h    Lm  Cl All Leo   HR  CHR  ZHR   Obs.        Rec.
--------------+--+-------+-----+----+--+---+---+----+----+-----+------------+------------
02h00m-02h30m  30  236.16  38.6  5.1  2   5   2    4    9   18  西野 亨     寺久保 一巳
02h30m-02h40m  10  236.17  42.7  5.1  6   4   3   18   87  156  中村 清英   佐藤 智子(※)
03h00m-03h30m  30  236.20  50.8  5.3  2  11   7   14   31   45  佐藤 幹哉   佐藤 智子
03h30m-04h00m  30  236.22  56.8  5.3  2  10   5   10   22   29  寺久保 一巳 中村 清英
04h00m-04h30m  30  236.24  62.6  5.3  3   3   2    4   10   12  佐藤 智子   佐藤 幹哉
04h40m-05h10m  30  236.27  69.8  4.7  2  10   8   16   47   51  中村 清英   寺久保 一巳
(※は条件が悪く参考データ)

 この晩のしし群は、ムラのある活動を繰り返しました。一時間あたりの数はおよそ15個程度で、特に目立ったピークがないこの晩としては、なかなかの出現数だったと思います。
 流星は明るいものも多く、永続痕こそみられませんでしたが、かなりしし群の特徴が現れていました。

 このあと、14時頃にヨーロッパ、19時半頃にアメリカで大出現となる模様です。そしてそれが静まった頃・再び日本で観測可能となる23時より、観測にのぞむ予定です。果たして大出現のおこぼれは、見られるでしょうか。


●海外での状況

 ヨーロッパ・アメリカとも電波観測によると、ほぼ予報通りの時間帯に極大を迎えた模様です。ただヨーロッパでは、雲や霧で観測を阻まれた人が多かったそうです(BBCのサイトより)。
 アメリカには多くの日本人が遠征しています。詳しい状況はわからないのですが、NMSのメーリングリストによると、明るい流星はあまり多くなく、出現数は昨年の日本まではいかないという様子のようです。HRは1000前後。今後詳細が報告されることでしょう。


以下は事前情報です。

●近年の予報の状況

 流星群の予報は水物で難しいと長年考えられてきましたが、ここ数年のしし座流星群の出現傾向から、大きく転換期を迎えました。アッシャーさんとマクノートさんがまとめた論文による予報が、1999年〜2001年の状況をほぼ説明するに至ったからです。
 これらの考え方は必ずしも新しいものではありませんでしたが、計算精度の高さと説明図の簡潔さがあり、多くの人に支持されました。その中で迎えた昨年2001年、日本でほぼ予報通りの流星雨が見られ(1時間あたり数千個)、この予報が実証されたとみられています。

●今年の予報

 これらの方法によると、しし座流星群には多くの流星物質の流れの帯(最近「 トレイル」と呼ばれることが多い)があり、この帯に地球が接近するかしないかで、流星雨となるかどうかが、ほぼ説明がつきそうだということになりました。今年の状況を図にまとめると、以下のようになります。



 図の通り、日本で観測可能な時間帯(赤い部分)には、帯と接近しないことがわかります。したがって日本での今年の条件は、悪いことになります。
 今年条件が良いのは、第一ピークがヨーロッパ・アフリカ西部など、第二ピークが北米大陸、ということになり、日本からも遠征観測隊が陣取っています。

●今年は気楽に見よう

 ということで、今年の日本では流星雨は望めそうにありません。そこで、気楽に見るのが良さそうです。そんな中、観測チャンスは3夜ほどあります。
■11月17日夜〜18日明け方
 微妙なピークが5時過ぎに来ます。あまり多くは期待できませんが、もしかしたら多少なりとも見られるかもしれません(と書いている時点で、すでにあと2時間だったりします(^^;)
■11月18日夜〜19日明け方
 第一ピークに向かって増加していくところが捉えられればラッキーですが、2000年の状況などを考えると、あまり多くは流れそうにありません。
■11月19日夜〜20日明け方
 第二ピークから数が減っていくところを、なんとか捉えられるかもしれません。昨年日本では3時過ぎに流星雨となりましたが、その後も6時頃まで、かなり流星が多い状況で推移しました。観測可能となる23時頃は、第二ピークから3時間半しか経ってないので、ここが最も注目かもしれません。
 23時頃はしし座にある輻射点(放射点)が上ってきてすぐのため、流星の数はとっても少ないのですが、流れる流星はとても長い経路のものとなり、見応えがあります。ここに注目してみたいところです。
■その他
 これらの予報のピークの他にも、計算では表現しきれない程大昔に放出された帯に偶然遭遇する可能性がないとはいいきれません。ということで、そんな夢を持ちつつ、今年のしし座流星群の観測に望みたいと思うのです。

 当会では、11/18〜19、11/19〜20の2晩に渡って、観測を行おうと思っています。観測できましたら、また速報を掲載する予定です。


●当会の過去のしし群情報


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