2003年の火星の大接近情報

 2003年8月27日、火星が大接近します。こちらの情報です。
 なお今年の夏は天気が悪く、観測が少なくなってしまっています。

 携帯版はこちら:i-mode J-SKY


【月と火星の接近速報】



18:47 薄雲を通して(デジカメにて撮影)



20:40 最接近の頃(5cm望遠鏡+デジカメでコリメート撮影)



20:40 同拡大(5cm望遠鏡+デジカメでコリメート撮影)


【9/9に月と火星が接近】

 9月9日の晩、地球に接近中の火星が、月と見かけ上接近します。
 府中での接近の様子を拡大した図が、右図です。月の大きさを考えると、かなり火星が接近することがわかります。肉眼では本当に寄り添うように見えることでしょう(※注:図では天球上の東西を横方向にして作図されています。実際の月と火星の位置関係は図と若干異なります)。

 明るさは月の方が圧倒的に明るい(月:-13等、火星:-2.7等)のですが、ご存知の通り火星は地球に接近中で普段以上に明るいこと、また面積あたりの明るさも明るいことから、相当きれいな光景となりそうです。

 各地で最も接近する時刻は以下の通り。  なお、国内では北に向かうほど、接近の角度は小さくなります(近づいて見えます)。またシベリアや中国北東部及びモンゴルの一部では、月が火星を隠してしまう「火星食」が見られます。


【8/27の火星の最接近時刻】

■地球と火星の最接近:18時51分12秒 5575万8006km (地球の中心−火星の中心間距離)

 でした。最接近の8/27が過ぎましたので、この関係の情報はこちらへ移動しました。まだ気になる方はご参照下さい。


【2003年の火星接近概況】

火星と地球の接近は2年2カ月おき

 火星は約2年2カ月ごとに地球に接近し、観測しやすい季節を迎えます。しかし火星の軌道がやや長細い楕円形をしているため、接近する位置によって、その距離が大きく変わります。火星が太陽に近いときに地球と接近すると、接近距離が小さくなり「大接近」と呼ばれます。
 また火星が太陽から遠ざかってるときに地球と接近すると、接近距離は大きくなり「小接近」と呼ばれます。この中間の場合は「中接近」などと呼ばれることもあります。
 前回2001年は中接近(6734万km)、今年2003年は大接近(5576万km)ということになります。

 過去2年間の火星と地球の移動(軌道図)のアニメーションへ

大接近は15年または17年おき

 火星の大接近は7〜8回の接近ごと、つまり15年または17年おきに起こります。前回の大接近は1988年9月22日(5881万km)でした。今年(5576万km)は、前回の大接近よりも約300万kmも近い接近です。
 大接近の中でも接近距離の近いものが、約79年ごとに起こります。前回は1924年8月23日で、約5577万kmでした。今年よりも1万kmほど遠いのですが、かなり近づいたことがわかります。

6万年ぶりの「超大接近」と呼ばれるわけ

 今年は人によっては「超接近」とか「超大接近」と呼ばれます。これは過去の火星大接近について、今年よりも接近距離の小さいものを計算すると、約6万年前までさかのぼらなければならない、という結果が出ていることによります。
 具体的には-57617年か-57538年とだそうで、いずれにしても約6万年ぶりとなります。
 といっても、79年前には今年とほぼ同じ距離まで接近しています。未来には284年後の2287年8月29日(5569万km)に今年よりも接近する大接近があります。ということで、貴重な「超」大接近ではありますが、天文学的に特別なことは特にありません。

「超大接近」でも異変はありません

 超大接近などと言うと、「なにか異変が起こるのでは?」と騒ぎ立てる人が出てきますが、全くそんなことはありません。
 火星が地球に及ぼす引力は、今年の場合でも月が地球に及ぼす引力の約20万分の1です。物理学的に見ても、なにも起こりません。ご心配なく。

大接近だと何がいいの?

 大接近だと何がいいのか、ということに正確に答えるのは難しいです。一言でいうならば、「観測しやすい」ということでしょうか。
 肉眼で見た場合、明るさが強烈に印象づけられるでしょう。8月末の大接近の前後は、-2.9等まで明るくなると言われます。これは木星よりもやや明るいくらいです。特に火星は赤く見えるので、人によっては、不気味に感じるかもしれませんね。
 望遠鏡で見ると、当然より大きく見えます。1995年の小接近に比べると、約1.8倍の大きさです。このため、より詳しく模様の観察ができる、絶好のチャンスといえるでしょう。

8月27日を過ぎると見えないの?

 よく「大接近の日にしか火星が見えない」と思い込む人がいますが、そんなことは決してありません。むしろ9月に入った方が、地平線から上ってくる時間帯が早くなり、目に触れる機会は増えることでしょう。地球からは少しずつ遠のきますが、秋いっぱいは火星の観測に良い季節です。
 火星の出(地平線から上る時刻)・南中時刻(真南で最も見やすい)は次の通りです。

時期火星の出南中時期火星の出南中
7月下旬21:00頃2:30頃9月上旬18:00頃23:15頃
8月上旬20:15頃1:45頃9月中旬17:15頃22:30頃
8月中旬19:30頃1:00頃9月下旬16:30頃21:45頃
8月下旬18:45頃0:15頃10月上旬15:45頃21:00頃

※時刻は東京(府中) 大阪ではおよそ15〜20分後、福岡ではおよそ35〜40分後です。
※火星の出のあと、地平高度10度に上り見やすくなるまで、およそ1時間ほど必要です。


【観測報告(最新のみ抜粋)】

■2003年9月30日

 このところ天気が悪かったり、出かけたりで、観測は2週間ぶりとなってしまいました。
 しかし久々に見る火星は、すっかり秋へと季節が変わった天候のため、シーイングが悪く最悪の条件でした。

●22時35分 観測者 リトル

CM=232.4度
視相:2/10 透明度:4/5
機材:15cmマクストフカセグレン(250倍)

 シーイングが悪くて、ゆれゆれ模様。ただ中央に黒い伸びている模様が見えたようです。また北極側の明るい部分も目立ちました。

●22時47分 観測者 怪鳥

CM=235.4度
視相:1.5/10 透明度:4/5
機材:15cmマクストフカセグレン(250倍)

 本来なら観測してはいけないシーイングだと思いますが、久々なので一応スケッチしてみました。火星はだいぶ欠けてきましたね。
 極冠はシーイングのせいで時々しか見えませんが、まだしっかりとしているようでした。北極側や欠け際がだいぶ明るく見え、雲か霧が出ているようです。この辺はところどころ青みがかってみえました。


●上記以外の全観測報告はこちら

 悪天で随分と初観測が遅れ、8月4日から観測を開始しました。

●スケッチ用紙(PDF形式)

 怪鳥が使用しているフォーマットです。よろしかったらご利用下さい。
 用紙は厚めのA5に印刷してご使用ください(またはA4に2回印刷してカットしてください)。


【火星関係のCGI集】


【府中市郷土の森の「星空観測会」】

 当会がお手伝いしている、府中市郷土の森博物館の「星空観測会」でも、8月は火星に絞って観望することになっています。お近くの方はぜひおいで下さい。

 ■日 時:8月23日 19:30〜 (申し込み不要、参加費:大人100円、子供50円)

 なお、9月以降も火星は観望していきます。詳細は以下をご参照ください。


【天show伝言板】

 なんかありましたら、書き込んでくださるとうれしいです。


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