まず、復習をしましょう。金星は、ご存知のように地球より内側を回る惑星で、水星とともに「内惑星」とよばれています。内惑星の特徴のひとつに、地球との位置関係によって見かけの大きさと形が変わることがあります。図のように、Bの位置にあるときは太陽−地球−金星の角度がいちばん大きくなります。太陽からいちばん離れているので、とても見やすくなります。これを「東方最大離角」と言って、4月1日がそうでした。
では、このとき金星はどんな形に見えるかというと、小さな半月のようです(図参照)。いちばん大きくなるのはDの位置ですが、太陽と重なってしまい見えません。ちょうどその中間Cのときには、Bより大きくて、三日月のような形です。もしこれ以上Dに近づくと、だんだん細くなって暗くなります。
このように遠すぎず細すぎず、いちばん明るく見えるときを「最大光度」と言います。5月1日がそうです。この日は、太陽の東側でいちばん明るくなります。もちろん太陽の西側でも同じで、Eの位置で最大光度となります。
ふだんでも「宵の明星」と呼ばれる明るい金星が、最も明るくなるのですから、場所がわかれば昼間の青空の中でも肉眼でさがせます。目安としては5月1日の午後2時半ころ、真南の頭の真上あたり(正確には東京で82 ゜)にあります。もしチャンスがあればさがしてみましょう。双眼鏡があれば、もっとよく見えるかもしれませんが、太陽も近くにあるので誤ってのぞくといけませんので(目が傷つきます)くれぐれも注意してください。まずは、肉眼で何時から見つけられるか楽しんでみましょう。
もちろん、金星が明るいのは5月1日だけではありません。その前から充分明るくて、この日にいちばん明るくなるとまた少しずつ暗くなります。1日の日没は18時28分です。このとき金星は、西の空40゜という高いところにあります。ゴールデンウィークは夕方から空を見上げて、「毎日金星が変化してるんだなぁ」と思って見るとおもしろいですよ。
ちなみに同じに日に、この春話題になった百武彗星が太陽に最も近づきます。日本のような北半球では、位置関係が悪く、もう再びその姿を見ることはできません。