2004年6月8日の金星の日面通過

 現象としては122年ぶり、日本で見られるものとしては130年ぶりの「金星の日面通過」現象が、今年6月8日に起こります。こちらの情報です。

●雲間から捉えた画像

 東京多摩地区はとても雲の多い天候だったのですが、かろうじて雲間から捉えることができました。


●現象の概要

 この現象は、地球と太陽の間を金星が通過するときに起こります。水星の日面通過は度々おこりますが、金星の日面通過は大変珍しい現象で、105年半、8年、121年半、8年の繰り返しで起こります。前回は1882年12月7日でしたが、日本では観測できませんでしたので、国内では1874年12月9日以来、実に130年ぶりの現象となります。
 なお現象は「日面通過」のほか、「日面経過」「太陽面通過」や「金星過日」などとも呼ばれます。

●日面通過の見られる範囲

 今年の日面通過が日食が見られる範囲を下の図に表しました。

 全経過見られる範囲は図の緑の部分で、中央アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカの大半、です。日本は第一・第二接触が可能域(ピンク)の範囲に入っていて、経過の前半〜中盤が見られます。

●日面通過の様子

 実際の日面通過の様子を下の図に表しました。

 金星は14時11分に太陽面にさしかかります(第1接触)。太陽面の縁の一部にくぼみができるように見られます。この後金星は、約19分かけて太陽面の内部へと移動していきます。完全に入り込むのは14時30分です(第2接触)。金星は太陽面上の「黒い点」としてしばらく見られます。

 最も内側に入り込むのは17時13分頃、この後現象は20時過ぎまで続きますが、その前に地平線に沈んでしまいます。府中の場合は18時55分に金星没となるまで(日没は18時57分頃)観測可能ということになります。おおむね西日本ほど日没が遅いので、長い時間観測できます。

 なお、第1接触、第2接触、最も内側まで入り込む現象時刻は、日本国内に限れば違いはわずかで、数十秒程度の差です。


観察方法

 日食と同様、観察するためには強烈な太陽光を弱める必要があり、細心の注意が必要となります。観察方法を誤ると目を痛めたり、失明のおそれがあります。十分に気をつけしょう。

肉 眼(※)

 肉眼でも、太陽の光を弱めれば、経過中の金星の黒い点を見ることができるでしょう。
 太陽の光を弱めるには、次のようなものを利用します。  日食観察用として以前作成したお薦め減光法のページもご参照ください。

 なお、普通のサングラス、黒い下敷き、カラーフィルム、CD-R、CD-RW等は目を痛めますので、絶対に避けましょう。またカメラ用のNDレンズも、熱線を若干通すので避けた方がよいとの話を聞いたことがあります。注意しましょう。

双眼鏡(×)

 基本的には観察できません。減光すればよいのですが、双眼鏡自体に光(熱)を集めるパワーがありますので、素人は避けた方がよいです。

望遠鏡(※)

 口径を絞り、太陽観察用の特殊な濃いフィルターを利用すれば観察可能ですが、かなり注意が必要です。またフィルターが熱を持って割れるおそれもありますので、観察していない場合は視野から太陽を外しておくなどの配慮も必要です。
 また、投影板が付属しているものは、これに投影することで観察できます。投影された太陽を見る分には安全ですが、覗き込んでるときに、誤って太陽光の差し込む方向を見ないように(特にお子様に見せるときには)注意しましょう。

●その他の話題

 その他、この現象についての話題を掲載する予定です。
 現在は「過去・未来の現象について」があります。今後、ブラックドロップ現象について、1874年の観測隊について、過去の観測意義について、黒点より暗い金星の点、などの予定。


●海外の中継サイト

●その他のリンク


 天showのページに戻る  FASのホームページへ戻る