黒い太陽 in ペルー

その2


【観測地ラ・ホーヤへ】

 観測地は、アレキーパから南東へバスで約1時間ほどにあるラ・ホーヤ平原である。皆既帯の中心からわずかに外れてはいるが、それでも約2分20秒の黒い太陽が見られる予定である。この平原の中にある、とある小学校の校庭をお借りして、観測するのであった。この辺りは砂漠地帯で、その中にオアシスのような形でポツンと小学校が存在しているそうだ。

 アレキーパを1:00過ぎに出たバスは、2:30前に観測地に着く。降りてみると、確かに校庭は平坦でコンクリ張りになっており、機材設置には向いている。聞くところによると、観測の邪魔になるであろうと学校の方で気を聞かせてくれて、かなりの木を切り倒したのだそうだ。あれ、そんなことまでしてしまっていいの?と、かなり恐縮する我々であった。
 さらに、既に現地入りしていたスタッフによって、南北にビニール紐が貼られており、赤道儀の簡単な設置もできるように準備されていた。A〜Cコース総計150名の参加者は、持ち込んだ機材を各々準備し始めた(ただ、150名もとなると校庭だけではやや狭く、校庭の先にある、ほとんど単なる砂漠と言うところにも、1/3くらいの人が陣取った)。

 さて、怪鳥が用意したのは、いつものビデオ用三脚にFC−50と言う、非常に軽く、また準備も楽な機材である(小笠原の日食の機材と全く変わっていない)。リトルには、双眼鏡と皆既中の空の撮影(ポケットカメラ)を託した。とりあえず三脚だけ(お腹の調子を考えて、校庭の一番端っこのトイレの近い場所に)広げて設置し、あとは、明るくなるのをのんびりと待つことにした。

 時刻はまだ3時そこそこ。上を見上げれば南天の星々が見えるはずである。ところが東の空にかなり雲があり、観望するにはちょっとつらい空である。まぁ、南天の空は珍しいということで、場内でのアナウンスによる説明が始まった。この観測地で、説明役にあたったのは白河天体観測所の大野裕明さんである。今回のツアーでは、各コースが2組に分かれ、それぞれにインストラクターと言う形で、そこそこ名前の通った方が計6名参加しており、大野さんもその一人であった(他には、SW誌編集長の川口さんや、同誌で彗星を担当している田中さん−DE VICO彗星の発見で最近話題になりました−などが名を連ねる)。

 説明とともに、大マゼランやらの南天を見、南東の空に見えるはずの南十字等を探しながら、空は白んでいく。段々とわかってくるのは、くっきりとした青空・・・にはほど遠い、厚い雲が覆う白い東空であった。


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