2004年のポン・ウィネッケ流星群の情報

 2004年に出現の可能性が示唆されているこの流星群の話題です。
 6/23晩がチャンスですが、ただし大出現の可能性は低く、興味のある方向けです。


●観測速報

 当会は晴れ間を求めて、長野県塩尻市まで遠征し、この群の出現を確認しました。
Jun.23-24/2004
Time          min   Ls      h    Lm  Cl All PW    HR  CHR  ZHR   Obs.        Rec.
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21h05m-21h35m  30   92.31  75.7  5.1  2   8   7   14   34   35  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
21h35m-22h05m  30   92.33  71.6  4.9  0   6   4    8   17   18  佐藤 智子   佐藤 幹哉
22h05m-22h35m  30   92.35  66.9  4.9  0  10   9   18   38   43  寺久保 一巳 佐藤 智子
22h35m-23h05m  30   92.37  61.9  5.3  0  10   5   10   18   21  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
23h05m-23h35m  30   92.39  56.8  4.8  0   4   1    2    4    6  佐藤 智子   佐藤 幹哉
23h35m-24h05m  30   92.41  51.7  4.9  0   1   0    0    0    0  寺久保 一巳 佐藤 智子
24h05m-24h35m  30   92.43  46.5  5.5  0   7   5   10   16   26  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
24h35m-25h05m  30   92.45  41.5  5.3  0  16   5   10   18   33  佐藤 智子   佐藤 幹哉
25h05m-25h35m  30   92.47  36.5  5.3  0   8   2    4    7   15  寺久保 一巳 佐藤 智子
26h05m-26h35m  30   92.51  26.9  6.0  0   6   0    0    0    0  佐藤 幹哉   寺久保 一巳

観測地:長野県塩尻市
 左から、開始-終了時刻(Time)、観測時間(min)、太陽黄経(Ls,2000)、輻射点高度(h)、最微星光度 (Lm)、雲量(Cl)、全流星数(All)、群流星数(PW)、一時間当たりの流星数(HR)、修正一時間流星数(CHR)、天頂修正流星数 (ZHR)、観測者(Obs.)、記録者(Rec.)です。

 この日観測地に着いたのは、すでに20時40分をまわっていたのですが、着いて間もなくこの群と思われる流星が見られ「これは大変だ!」とすぐに観測体制に入りました。出現にはムラがあり、増減を繰り返していましたが、25時以降は激減し、収束したもようです。最大は22:05-22:35のHR=18(ZHR=43)でした。


●流星群概要

 ポン・ウィネッケ流星群は、周期約6年のポン・ウィネッケ彗星を母天体とする流星群です。ときおり出現する流星群で、過去1916年、1921年、1927年、1998年に大出現を記録しています。

 彗星は2002年に近日点通過しましたが、現在の彗星自体は地球軌道にあまり近づきません。しかし2年遅れで周回する流星物質で、地球軌道と接近する部分があり、今年出現することが期待されています。

 しかしながら今年接近する流星物質の部分は1910年(および1916年)の地球との接近で、乱された部分です。このため、(正確な流星数は予報されていませんが)1998年のような大出現(1時間あたり200個程度)まではならず、突発的な出現(1時間あたり数個〜数十個?)が観測される程度と考えられます。
 なおこれらはあくまで計算上の話なので、出現しない可能性もあります(特に市街地では、出現した場合も全く流星が見られない可能性もあります)。あらかじめご了承ください。

 怪鳥による詳しい予報計算結果は
こちらの流星ノートからご覧下さい。

●極大予報

 怪鳥の計算による極大予報は、下記の通りです。
 流星物質が放出されたのは、200年近くも前のものです。
極大 日本時 放出年  赤経 赤緯  速度
6/23 21:30 1830年 222.5 +46.8 14.1km/s
6/23 22:45 1825年 222.4 +46.8 14.1km/s
6/24 00:31 1819年 222.5 +46.7 14.1km/s
(赤経・赤緯は輻射点)
 なお、極大は分単位で予報されていますが、流星物質の分布は広いことが予想されるため、ゆるやかな極大となる可能性もあります。流星の速度は14.1km/sで非常に遅く、もし流れた場合にはゆーっくりとした流星になります。(参考:ジャコビニ群約20km/s、ペルセ群約60km/s、しし群約70km/s)
 いずれにしても、6月23日夕方〜24日明け方までが注目しましょう。


●輻射点



 夕方〜夜半の頃、輻射点は天頂(頭の真上)に近く、もし流星が流れれば、頭の真上から降り注ぐように見られます。ゆっくりとした流星なので、明るいものが多ければ目立つかもしれません。


●観測

 夏至に近いため日が長く、薄明が終わるのは20:50頃です(東京の場合)。しかし薄明中からちらほら流れ出す可能性もありますので、20時頃から空に注目してみたいところです。各地の薄明終了時刻はこちらのページで調べられます。どうぞご利用下さい。

 当会ではこの流星群の観測を予定しております。観測に成功した場合は、結果を掲載いたします。

 質問や「見えたよ〜」「見えなかった〜」などは、お気軽に天show伝言板までお寄せ下さい。


●リンク


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