5.一部の物質が交差し、流星出現の可能性がある期間(〜2008年)


 彗星軌道は地球軌道の外側で安定する。近日点距離は地球軌道の外側でほぼ一定となり(q = 約1.25)、新しく放出された流星物質は地球軌道と交差しない。

 しかしながら、彗星から大きく遅れて公転する一部の流星物質は、引き続き地球軌道付近にとどまる。またこれらは彗星とは別に木星の摂動を若干受け、徐々に地球軌道の内側へと遷移する。
 これらの、流星物質が地球軌道と交差する時期と、地球が通過する時期が比較的近く、状況によっては流星出現の可能性がある。
 流星が出現しそうな年は、1980年、1986年、1992年、1998年、2004年、2010年である。実際、1998年には突発出現が確認されている。

5−1 1976年〜1989年

 彗星回帰の2〜3年後、流星物質が地球軌道に接近する。しかしながら、流星出現の記録はないようである。

X軸:降交点通過時刻(T1)  Y軸:降交点通過時の太陽との距離(r)
*:彗星本体



図 1976年回帰時の流星物質の分布





図 1983年回帰時の流星物質の分布





図 1989年回帰時の流星物質の分布


5−2 1996年

 流星物質の分布は、前の3回帰とあまり変化はないが、流星物質は彗星回帰の約2年半後の1998年頃に、地球軌道と交差する。
 実際1998年6月27日、日本各地でこの彗星起源と見られる流星群の突発出現が確認された。
 グラフ上の分布からは流星物質の密度が濃いとは言えないが、1875年以前に放出された多くの流星物質は、木星摂動の絶妙な影響により、この時期に地球軌道の外側〜内側に交差するように回帰する。これらのうちのいくつかの物質の流れの帯が地球軌道と交差し、流星を出現させたと推定される。
 しかしながらこれらの物質は放出から100年以上経過しており、残念ながら当方の計算精度では突発出現させた物質を限定するまでには至らなかった。

X軸:降交点通過時刻(T1)  Y軸:降交点通過時の太陽との距離(r)
*:彗星本体



図 1996年回帰時の流星物質の分布


5−3 2002年〜2008年

 流星物質は、引き続き同様の分布状況である。このため、2004年、2010年には1998年と同様に突発出現をする可能性があるものと推定される。

X軸:降交点通過時刻(T1)  Y軸:降交点通過時の太陽との距離(r)
*:彗星本体



図 2002年回帰時の流星物質の分布





図 2008年回帰時の流星物質の分布


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