リニアー彗星(2002 T7) の情報

C/2002 T7 Comet LINEAR

 2004年4月〜5月に肉眼で見えると予想される彗星の情報です。ニート彗星とともに、尾が立派に発達した大彗星となるでしょうか。4月下旬現在、予想よりもかなり暗めで心配されています。

画像は4/25 明け方撮影 


<概要>

 2002年10月14日に、アメリカのLINEAR(Lincoln Laboratory Near-Earth Asteroid Research:リニアー研究所の地球に近づく小惑星捜索プロジェクト)が発見しました。リニアーはとても多くの彗星を発見しているため、「2002 T7」(2002年10月前半の7番目に発見)という符号で区別します。

 2月末まで夕方の空に見えていましたが、その後見かけ上太陽方向となりしばらく観測ができませんでした。4月中旬〜5月上旬は明け方の低い空で観測可能な位置となります。その後再び太陽と同じ方向となり見えなくなった後、5月下旬に夕方の空に姿をあらわします。

 太陽への最接近(近日点通過)は4月23日です。彗星自体の規模はこの日以降、2週間程度がもっとも発達している時期と考えられます。この頃の彗星は明け方の低空に見られます。地球からはちょっと離れています。

 地球への最接近は5月19日で、この頃に見かけの大きさ(尾の長さ等)が大きくなります。ただし日本ではこの頃条件が悪く、この点で南半球の方が条件がよいとされます。日本で見え始めるのは5月25日頃です。

<位置概略>(詳細はこちら)

●明け方の東空(低空注意!)
(関東付近・日の出1時間前の空)


※尾の長さは参考です。

 彗星は明け方の東空に見られます。ただしかなり低空なので、東がひらけた場所で、よく晴れ渡った日などに観察する必要がありそうです。
 過去のヘール・ボップ彗星の見え始めた時期を考慮すると、4月15日辺りから双眼鏡で見え始めるのではないかと思われます。5月5日頃までは明け方の空で見られます。彗星自体の発達との兼ね合いで、もっとも見やすいのは4月末頃ではないかと考えられ、肉眼でも尾をひく姿が見えるのではないかと期待されます。
 なお同じ頃、ブラッドフィールド彗星も明け方の空で観測できるかもしれません。

●夕方の西空(5月末〜)はこちら
(関東付近・日の出1時間前の空)

各地の日の出・日没時刻の計算はこちら


<光度予想について>

下のグラフは、これまで観測されたリニアー彗星の光度推移と、予想光度です。



 彗星の光度予報は彗星ごとにパターンが多少異なります。このため、ある程度の予想はできても、実際の推移が異なってくることがあります。ご了承下さい。

 リニアー彗星は、今年の2月頃までは順調に増光してきました。そのままですと5月中旬(ただし観測は難しい)には0等台に達すると予想されてきました。
 しかしグラフの通り、2月に入った頃から若干増光が鈍ってきたようです。4月のデータがまだ条件が悪いため評価しづらいのですが、このままですと約2等止まりのおそれも出てきました。果たして実際にはどのような姿に見えるでしょうか。

(※本ページの光度観測データは、ICQ/CBAT/MPCのRecent Comet Magnitudesを使用しました。ただしこれらは暫定観測値です。)


<観測報告>

<軌道要素>

<リンク>


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