第21回木星観測者会議 in 富山

 怪鳥による簡単な報告をさせて頂きます。


<開催のデータ>

日 時:1996年10月26日(土)〜27日(日)
場 所:富山市科学文化センター

<内 容>

 怪鳥が独断でまとめてますので、多少ニュアンスが違う部分もあろうかと思いますが、ご了承下さいませ。

世話人挨拶

 今年の世話人は、富山県天文学会の渡辺康充さん。富山大を卒業し、木星観測者会議初の富山での開催を実行されました。お疲れさまです。
 また、富山大の皆さんが、裏方として頑張っておりました。

今シーズンの木星面

 安達 誠さんが司会となって、今シーズンの木星面の模様について、報告とまとめが行われました。関東と関西の眼視・写真・CCD観測者がデータを持ち寄り、白熱した議論が交わされました。1日目では終わりきらず、2日目の始めまでかかりました。

 なお、安達さんの生黒板板書画像はこちら


以下研究発表(演者敬称略)

木星のPhotometry 竹内 覚

 Albedo(反射能)を観測から求めることで、木星面の明るさを定量的に調べようというものです。1996年8月25日の観測の概要も紹介されました。

アマチュアによる木星分光観測の実例 −CCD時代の木星観測− 河北 秀世

 CCDが普及し、アマチュアレベルでも分光器を自作するだけで、吸収線を観測することが出来るというもの。望遠鏡は28cmシュミカセ、CCDはST-6を使用し、分光器は約20万で自作。NH3やCH4の吸収線の実測が紹介されました。
 右図は分光器の設計図。

彗星衝突痕跡の10ヵ月間の変化 長谷川 均

 岡山の188cmによるSL-9の衝突痕跡の明るさの変化を発表されました。94年7月(衝突直後)、95年4月・5月(10ヵ月後)、96年7月(2年後)の明るさの違いから、分布する物質の空間密度をシミュレーションされました。

SL-9衝突痕の時間変化 田部 一志

 観測されたSL-9衝突痕の形状変化から、衝突痕の発生した緯度、特に高緯度に注目して、その緯度における風速を予測したもの。おまけで、1690年にあのカッシーニ(カッシーニの空隙で有名)のスケッチ(右図)に描かれた黒い斑点が、SL-9の衝突痕の変化に似ていると言うことを紹介されました。

南温帯縞(STB)と永続白斑 伊賀 祐一

 今シーズンを中心に、南温帯縞の形状と、この緯度に見られた永続白斑等の模様について発表されました。特に永続白斑とその他の白斑の関係について、渦の方向などをもとに考察されました(右図)。

今年発生した土星の暗斑について 浅田 秀人

 この夏に土星面に発生した暗斑について発表されました。土星面の風速の差が木星面のそれに比べて大きいことから、これはFestoon(フェストーン)が横に伸びて見られてるものではないかと考察されました。

木星経年変化 1972〜1996 安達 誠


 25年間の各年(1981年を除く)における、特徴的な木星面のスケッチを1枚ずつまとめたものが配布されました。解説もあり、貴重な資料であります。

次回の開催地について

 安達さんから来年京都で行われるIAUの時期に合わせて京都で行うことを提案され、了承されました。この際、田部さんと長谷川さんが、IAUに来られる海外の研究者とコンタクトをとり、講演を行って頂く方向で調整することとなりました。

簡単な感想

 今年怪鳥は発表もなく、また観測データもあまりない状態でしたので、ほとんど参加するだけと言った状態になってしまいましたが、皆さんの発表を聞くことで非常に刺激を受けて来ました。来シーズンは、観測をもっと頑張りたいものであります。

集合写真・その他のスナップなどはこちら
(画像中心のため、アクセスに時間がかかる可能性あります。ご注意下さい)



さらに詳しい報告は、月惑星研究会関西支部の中の「木星観測者会議 報告書」をご覧下さい。



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