'97年のペルセウス座流星群の情報(解説)

 ペルセウス座流星群が、8月12日夜〜13日明け方に極大となります。空のきれいなところでは、1時間に60個以上の流星が期待されます。

<名前の由来>

 さて、群流星の場合、流星が流れ出した方向へさかのぼってたどってみると、およそある一点に必ず集まります。この点を「輻射点」(ふくしゃてん)と呼びます。
 ペルセウス座流星群では、この輻射点はペルセウス座とカシオペア座の中間辺りにあります。近くの星はペルセウス座γ星なので、ペルセウス座流星群とか、ペルセウス座γ群とか呼ばれます。

 ちなみに輻射点は、流星のもとの塵自体が地球に飛び込んでくる方向をおよそ示しています。

<ペルセウス座流星群の起源の話>

 流星は、そのほとんどが彗星(ほうき星)がまき散らした砂粒から小石のような塵が地球の大気にたまたま飛び込んできて、大気との摩擦で高熱となり光が出て見られるものです。この時、元になる物質も、放出された彗星とほぼ同じ軌道で太陽の回りをまわっています。

 ペルセウス座流星群はスイフト・タットル彗星です。約120年周期のこの彗星は、1992年に近づきました。彗星接近付近では流星の元になる物質の密度が濃くなることが多く、彗星接近前年の91年から昨年まで、従来の極大とは別に流星の数が極端に多くなるピークが観測されてます(新極大)。

<何日の何時頃がよいのか〜極大の話〜>

過去の当会の観測データから

 群流星が多く見られるのは、流星のもとになる物質の密度が最も濃い部分を、地球が通過するときになります。ただ、実際にはこのもとになる物質を直接観測することはできませんので、過去の出現から予想するしかありません。
 FAS府中天文同好会では創会当初の1986年から、ほぼ毎年ペルセ群の観測を行ってきました。天候の都合で観測できなかった年がありますが、昨年までで7年間の観測データがあります。大胆にもこれらのデータから今年の状況を予想してみました。

図1 FAS府中天文同好会の過去の観測データ

ZHRとか太陽黄経とかの説明は以下の通りです。めんどくさい人は飛ばして下さい。

 観測値はZHRと言う理想的な条件で1時間に見られる流星数に補正してあります。肉眼限界と言われる6.5等まで見えるような素晴らしい空(さらに雲がない空)で、輻射点がもしも天頂にあった場合に観測できたであろう流星数(1時間あたり)です。例えば4等までしか見えない空と6等まで見える空では、観測される流星数がかなり違います。これをまず補正します(この補正をCHR値と言います)。さらに、輻射点は大ざっぱに流星が地球に飛び込んでくる方向なので、これが空の低いところにあると、見られる流星の数が減ってしまうのです。CHRにさらにこれを補正してZHRとなります

 また横軸は太陽黄経となってます。なぜ日付でなくて、このようないわゆる角度の値でまとめるかと言いますと、地球が太陽を一周するのに、約365と1/4日かかるので、例えば昨年の8月11日の0時に地球が通過した場所は、今年は8月11日の6時に通過してしまうからなのです。流星物質の軌道との交点は毎年ほぼ同じ場所なので、時刻ではなく、このような値でまとめるのです。

 このグラフを見ると、太陽黄経140度付近が最も多くなっていることがわかります。強引に正規分布と言う曲線で近似すると、青い曲線(点線)のようになり、やはり139.9度が極大となります。(但し1991年に見られた突発ピーク(新極大)は、近似から除いてあります。)

今年の極大は12〜13日の真夜中、見頃は13日明け方

 図1のグラフでは、今年の何時が極大に当たるか見づらいので、次のようなグラフに直してみました。

図2 過去のデータからの推定値と、今年の出現予想

(時刻などは、長野県を想定してます)

 青い点線が前のグラフの近似曲線と同じで、ZHRを表します。理想の上での極大は12日の夜23時頃となります。推定ZHRでは実に200/個を越えてます。

 緑の線は、この理想の値から現実の空で見られる数を推測したものです。ペルセ群は明け方に輻射点の地平高度が最も高くなるので、理想の極大よりも少し後の13日の3時頃まで流星数は増加すると考えられます。この晩の予想値は

 22時頃:約10個/時(月明かりあり)
 23時頃:約25個/時(23時30分頃、月没)
  0時頃:約50個/時
  1時頃:約65個/時
  2時頃:約75個/時
  3時頃:約80個/時(3時30分頃、天文薄明開始)
  4時頃:約15個/時(明るくなり、観測終了)

となります。月の沈む12日23時半〜空の白み始める13日3時半が、おすすめの時間帯です。

注)ただし、これらの値は、天の川がはっきり見られるような6.0等まで見える空で観測したとき(月明かりのある時間帯は5.0等)のものです。これよりも空が明るいと、見られる数が減ってしまいます。例えば東京では1/3以下のようです。また大阪くらいまでは時刻の状況はあまり変わりませんが、九州とかではだいぶ違うのでご注意下さい。

 近年見られた新極大は、残念ながら12日の昼間に当たるため、今年は観測できません。

 また極大の前の日の11〜12日、次の日の13〜14日の夜にも、やや少なくなるものの、流星は見られます。当会では極大前後の観測しかないのでグラフには表せませんが、さらにこの前後数日もそこそこの活動が続きます。

 なお、今回の予想の値などは、当会の観測データを信じた場合の値です。図1からわかる通り、実際の観測自体にかなり幅がありますし、また突発的な出現があるかもしれませんので、これらはあくまで目安として下さい。

<どうやって見ればよいか>

 基本的には寝っ転がって、頭の真上を見るのが普通です。ほぼ全天にまんべんなく流れますので、なるべく視界の広い場所が観測に適してます。夏場と言っても、山の上などの高地で見る場合には明け方冷えますから、寒さには気をつけたいですね。

 また場所は、空が暗ければ暗いほど、よい条件となります。天の川がはっきりと見られるようなところがベストです。  なお、FAS府中天文同好会は8月11〜13日、長野県で観測を行う予定です。結果がでましたらまたここに掲載しますので、お楽しみに。



 
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