'98年のペルセウス座流星群の情報

 毎年お盆前の夜空をいろどるペルセウス座流星群は、8月12日夜にピークを迎えます。空のきれいなところでは、1時間に30〜50個ほどの流れ星が見られそうです。


<ペルセウス座流星群〜名前の由来〜>

 ペルセウス座流星群というのは、「輻射点」(ふくしゃてん)と呼ばれる場所が、ペルセウス座にあるので、このような名前になりました。
 群流星は、流星が流れ出した方向へさかのぼってたどってみると、およそある一点に必ず集まります。この点が「輻射点」です。ペルセウス座流星群では、ペルセウス座とカシオペア座の中間辺りにあります。近くの星はペルセウス座γ星なので、ペルセウス座γ群とも呼ばれます。
(流れ方の大まかな図は
こちらのページをご参照下さい。)
 ちなみに輻射点は、流星のもとの塵自体が地球に飛び込んでくる方向をおよそ示しています。

<ペルセウス座流星群の起源の話>

 流星は、そのほとんどが彗星(ほうき星)がまき散らした砂粒から小石のような塵(ちり)が元となってます。この塵が地球の大気にたまたま飛び込んできて、大気物質との衝突で発光し、星が流れたように見えるのです。
 ペルセウス座流星群の元になる塵をまき散らしたのは、スイフト・タットル彗星という約120年で太陽のまわりを一回りするほうき星です。彗星が太陽に近づくごとに、氷やドライアイスが気体となって吹き出し、このときにいっしょに塵が放出されるわけです。
 塵も、彗星とほぼ同じような軌道上を運動しながら、徐々に彗星から遠ざかっていき、おそらく何千年という時間をかけて軌道上にほぼまんべんなく行き渡ったと考えられます。地球は毎年8月12日頃、このような塵の流れの中を横切るのです。

<いつたくさん見られるか〜極大の話〜>

 当会では創会当初の1986年から、ほぼ毎年ペルセ群の観測を行ってきました。天候の都合で観測できなかった年がありますが、昨年までの8年間分の観測データをまとめたのが次のグラフです。

図1 FAS府中天文同好会の過去の観測データ

 このグラフを見ると、太陽黄経というもので140度付近が最も流星数の多い極大(ピーク)となっていることがわかります。今年、この地点を地球が通過するのは13日の夜明け後になり、残念ながら見ることができません。
 ただし、12日深夜から13日の明け方は、その前の比較的流星数の多いところを通過するので、そこそこの数が見られるでしょう(グラフの一番下の目盛り)。天の川がうっすら見えるような空では0時頃で1時間に約30個、4時頃で1時間に約50個程度(右側の目盛り)でしょうか。また今年は月明かりがあり、暗い流星が見づらそうなのが残念です。

 そして、その前夜(11日晩から12日明け方)、次の夜(13日晩から14日明け方)も、やや少ないながら1時間にから10から30個程度の流星が流れそうです。この3晩が見頃の時期となります。
(これらはあくまで過去のデータからの推測なので、実際の数は増減します。ご注意下さい。)

<新極大の話>

 ペルセウス座流星群の元になる塵をまき散らしたスイフト・タットル彗星は、1992年に太陽へ接近し、地球軌道を通過しました。彗星の前後には塵の濃い部分があり、多くの流星が流れることがあります。ペルセ群では、1991年から新極大と呼ばれるピークが観察され、従来の極大よりもやや早い時間帯に数が突出しています(当会では1991年に観察されました)。
 この新極大は1992年を境に数が減っていますが、昨年も海外で観察されたようです。今年は91年頃からは少し後ろにずれて、13日の0時(12日の24時)頃と予想されてますが、果たしてどのように見られるのか注目されてます。

<実際の空での見え方>

 実際の空でのおよその見え方を、
こちらのページで図にあらわしました。
 見るときに参考にどうぞ。

<どうやって見る?>

 基本的にはグランドシートや銀マットなどの上に寝っ転がって、頭の真上を見るのが普通です。今年は月明かりがあるので、月をさけてやや北側の空を狙っても良いでしょう。いずれにしてもほぼ全天にまんべんなく流れますので、観測にはなるべく視界の広い場所が適してます。
 また場所は、空が暗ければ暗いほど、よい条件となります。今年は月明かりがありますが、それでもうっすらと天の川が見えるような観測地ならば、ベストでしょう。

 また虫対策、夜露対策、山の上などの高地で見る場合には寒さ対策にも気をつけた方が良いでしょう。


 なお、FAS府中天文同好会は8月11〜13日、長野県で観測を行う予定です。結果がまとまったら、またこちらに掲載しますので、お楽しみに。



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