今年はその前年にあたりますが、前回流星雨となった前年の1965年、日本で1時間に100を越えるような出現があったそうなので、今年もかなりの出現は期待できる状態になります。極大は11月17日の晩で、平日ですが見逃せませんね。
彗星から放出された砂粒は、やはり彗星とほとんど同じ軌道で太陽系の中を回ります。が、最初に放出された速度や、さまざまな要因で、徐々に彗星から離れて回るようになります。
何度も彗星が周回を重ねて、この流星のもとになる砂粒を放出していくと、次第に軌道上に均一に広がっていき、毎年流星が見られるようになります(8月のペルセ群や12月のふたご群がこれにあたります)。しし群はまだ進化途上の流星群と考えられていて、テンペル・タットル彗星からの砂粒の広がりが不十分なのです。
不十分だと、この彗星の近くでは砂粒が濃密で、彗星から遠い軌道上ではあまり分布してないと言う状況になります。つまり、彗星が地球に近づく頃の前後数年は多く流星が流れますが、彗星が最も遠ざかったときには1時間に数個程度と言う状況になるのです。
また、テンペル・タットル彗星の軌道は、非常に地球軌道に近づくので、彗星が近づいている頃は、流星のもとの砂粒が相当濃密な部分を地球が通過する場合があります。この時には、1時間に1万個を超えるような大流星雨となるのです。このチャンスが約33年と言うことになります。
地球がこの彗星軌道の近くを通過するのは、それよりも約108日早い11月17日頃となります。つまり、彗星よりもやや先行して回っている砂粒の帯の中を通過することになります。これは十分に流星雨となる可能性を秘めている条件だったりします。
実際には、過去のデータによると、彗星よりも後の帯の中を通過する方が流星雨となる可能性が高く、また、このようなデータを裏付ける計算をされてる方もいます。このため、来年〜再来年に流星雨となるというのが一般的のようです(ただ前述の通り、かなりの出現は期待されます)。
しし群の母天体、テンペル・タットル彗星が近日点を通過するのは来年2月28日です。このころ地球が彗星軌道に近づけば、かなりの流星雨が期待されますが、残念ながら図の一番左のようにかなり遠い場所にいます。
図では非常にわかりにくいのですが、地球が彗星の軌道に最も近づくのは11月18日頃です。今年は彗星が通る前、来年は彗星が通過した後ですが、彗星から放出された砂粒(流星物質)が比較的濃密な場所を通過しそうなことがわかるでしょうか。
(なお、図は怪鳥の知識から描いた模式図で、実際にどう分布しているかは、相手が砂粒だけに、なかなかわからないのが現状です。このため流星の出現数の予報は、今のところ正確にできません。現在も観測や軌道計算から、さまざまな研究がなされてるようです。)
実際には、流星物質(砂粒)は彗星と若干異なる軌道を持っており、このため17日22時頃を中心に前後12時間くらいの予報が発表されてます。いずれにしても17日の晩が最も多く見られそうだというのは間違いないと思います。
しかし、大出現というのは非常に短く、長くても数時間、また大流星雨となっているのは1時間にも満たないようです。この時、日本で昼間だったり流星が見られないような時間帯だと、大出現が見られないと言う残念な場合もあることは忘れてはいけません。
ちなみに前述の22時だと、日本ではしし群の流星は全て地平線の下となってしまい、残念ながら流星は見られないことになってしまいます。輻射点というものが地平線にのぼる23時頃から徐々に見えだし、1時くらいは条件が良くなります。このことから、多少遅めの予想が当たると、日本では良く見られることになります。気になる人は22時頃から東の空を注目、そうでない場合も0時くらいからは眺める体制に入っておきたいところでしょうか。
また、明るい流星が多いことも特徴です。大出現の前年にあたる1965年でも、かなりの火球が見られたそうなので、今年も期待できるでしょう。
また、流星が流れたあとに、痕(こん)と呼ばれる雲のようなものが残ることがありますが、しし群はこの痕を残す率(有痕率)が高いことでも有名です。このような痕が数分間も見えてることもあります。
当会は、17〜18日の晩に富士山周辺での観測を予定しています。結果もこちらに掲載する予定です。
たくさん流れるといいですね。