2000年のしし座流星群の情報

 11月18日頃極大を迎えるしし座流星群(しし群)の情報です。極大前に掲載した事前情報です。



●観測速報!

当会では11月17日深夜〜18日未明にかけて、観測を行いました。
速報値は以下の通りです。
Nov.17-18/2000
Time          min   Ls      h    Lm  Cl All Leo   HR  CHR  ZHR   Obs.        Rec.
--------------+--+-------+-----+----+--+---+---+----+----+-----+------------+------------
03h00m-03h30m  30  235.71  50.4  5.8  2  10   6   12   21   31  寺久保 一巳 佐藤 智子
03h30m-04h00m  30  235.73  56.4  5.4  3   9   6   12   29   38  中村 清英   佐藤 幹哉
04h00m-04h30m  30  235.75  62.3  5.4  1  21  14   28   52   63  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
04h30m-05h00m  30  235.77  67.7  5.2  2  14  12   24   55   62  佐藤 智子   寺久保 和子
05h00m-05h10m  10  235.79  71.0  5.0  4   2   1    6   20   22  寺久保 一巳 佐藤 幹哉
 左から、開始-終了時刻(Time)、観測時間(min)、太陽黄経(Ls,2000)、輻射点高度(h)、最微星光度(Lm)、雲量(Cl)、全流星数(All)、しし群流星数(Leo)、一時間当たりの流星数(HR)、修正一時間流星数(CHR)、天頂修正流星数(ZHR)、観測者(Obs.)、記録者(Rec.)です。

 雲と月明かりの影響があって、条件の悪い状態での観測でしたが、4時台は1時間あたり20〜30個程度(HR=28および24)の出現が見られました。しかしながら、あまり活発だったとは言えない出現状況と言えるでしょう。

 当会では、また18日〜19日にかけても観測を行いました。

Nov.18-19/2000
Time          min   Ls      h    Lm  Cl All Leo   HR  CHR  ZHR   Obs.        Rec.
--------------+--+-------+-----+----+--+---+---+----+----+-----+------------+------------
23h00m-23h30m  30  236.55   3.4  6.0  0  13   1    2    3  176  佐藤 智子   寺久保 一巳
23h30m-24h00m  30  236.57   9.0  6.1  0   5   1    2    2   39  寺久保 一巳 佐藤 幹哉
00h00m-00h30m  30  236.59  14.8  6.0  0   9   2    4    5   39  妹尾 英樹   佐藤 智子
00h30m-01h00m  30  236.61  20.8  6.0  0  14   3    6    8   36  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
01h00m-01h30m  30  236.63  26.8  5.9  0  13   3    6    8   26  佐藤 智子   佐藤 幹哉
01h30m-02h00m  30  236.65  32.9  5.9  0   6   5   10   13   33  寺久保 一巳 佐藤 智子
02h00m-02h30m  30  236.68  39.0  5.7  0   3   2    4    6   12  妹尾 英樹   佐藤 幹哉
02h30m-03h00m  30  236.70  45.1  5.9  0   9   3    6    8   13  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
04h00m-04h30m  30  236.76  63.0  5.1  0   7   5   10   19   23  佐藤 智子   佐藤 幹哉
04h30m-05h00m  30  236.78  68.4  5.1  0  10   5   10   19   22  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
データの各項目は上記と同じです。

 18日〜19日までは雲量0、空も澄んでいて、かなり条件の好い観測ができました。
 しかし、肝心のしし群は、最高でも1時間に10個(HR=10)を記録したにとどまり、活発な様子は見られませんでした。
 海外では、18日の昼頃(日本時)に、やや活発な活動が見られたようですが、昨年ヨーロッパなどで見られた流星雨のような状態には、今年はならなかった模様です。日本では特に低調な部分に当たったようで、かなり物足りない出現だったと言えるでしょう。


 以下は事前掲載情報です。


●しし座流星群は毎年見られる!

 「今年もしし座流星群は来るの?」と聞かれると、とっても困ります。しし座流星群は毎年まず間違いなく見られます。ただたくさん流れるかどうか、ということについてははっきりとはわからない、ということです。日本では一昨年の1998年だけ大騒動になりましたが、少なくとも去年の方が多く流れましたし、今年も世界中のどこかではかなり多くの流星が流れるかと期待されてます。

●「気圧の谷が近づくと、天気が崩れる」的予想

 しし座流星群の元は、「テンペル・タットル彗星」というほうき星が放出した砂粒です。この砂粒が地球大気に飛び込むと、高熱になり発光して流星として観測されるのです。
 この彗星は太陽のまわりを回っていて、約33年ごとに地球軌道付近に戻ってきます。 ほうき星から放出された砂粒も、最初は彗星の近くを彗星といっしょにまわっています。その後ちょっとずつ彗星から離れていくため、主に彗星軌道の上に散らばるのですが、彗星のまわりにはたくさんの砂粒が存在します。
 このため、彗星が戻ってきた前後何年か、流星が多く見られるチャンスがあることになります。そこでここ数年「しし座流星群の大出現」が期待されているというわけです。

 しかし、これでは「気圧の谷が近づくと、天気が崩れる」程度の根拠しかない状態です。

(注:右図の彗星の位置は1999年のもの)


●「低気圧の進路によって、雨の降り方が変わる」的予想

 それではと考えられたのが、「彗星接近のタイミング」と「彗星軌道と地球軌道との接近距離」から、流星の数を予想しようという試みです。
 下のグラフがこの関係を図示したものです。横軸は「彗星が地球軌道を通過してから、地球が通過するまでの日数」です。縦軸は「地球軌道と彗星軌道との接近距離」を表し、○の色と大きさで大まかな「流星活動の活発さ」を表してます(1600年以降)。


(注:流星嵐:1時間あたり1万以上、流星雨:同1千以上、大出現:同100以上をめやすとした)

 すると、非常に地球に接近した部分で「流星嵐」となっているほか、通過前や通過後方向でも活発に流れているときがあるのがわかります(大ざっぱに色をつけてみました)。
 今回の一連の場合、1998年にこの部分にさしかかってかなり活発になり、昨年(1999年)かなりの出現が起こったように見えます。そして今年どうなるか?といった微妙な状況のように読みとれます。

 しかしこれも、「低気圧の進路が接近しそうなので、雨が強く降るおそれがある」という程度の予想です。局地的に見た場合、実際に活発な雨雲が通過するのか、それともぱらぱらと降って終わるのか、というところまではちょっと、という感じがします。

●「レーダーによる雨雲通過予測」的予想

 最近ではさらに詳しい予想もメジャーになりました。これはいわば「雨雲の強さと動きを捉えて、さらにどう進むか予測し、ピンポイントに雨量を予報する」ような予報です。

 彗星は太陽に近づいた時に熱せられ、本体の氷やドライアイスが気体になります。この時、凍り固められていた砂粒もいっしょに放出します。これを過去から計算し、現在どのように砂粒が分布していて、どう地球軌道に接近するかを計算するというものです。日本では長谷川隆さんなどが取り組んでこられてますが、一昨年、D.アッシャーさんという方の計算結果が非常に上手く図示されたため、一躍この名前が著名になりました。

 上図は、そのアッシャーさんとマクノートさんによる「砂粒の帯と地球の接近の様子」について、図示したものです。(2000年の状況の一部を「imo-news Messages :Message 404」にあるデータを元に、怪鳥が作図しました。)

 これによれば、今年は砂粒の帯を3回かすめることになりそうです。その時刻は17日17時頃、18日13時頃、18日17時頃(各日本時)ですが、数的には100個/時かそれ以下ではないかとされてます。
 またこれらは日本の昼間にあたるため、日本では残念ながら観測できないことになります。

 ただし、これらの現在のところでは最も確からしい、という程度で、実際には観測してみなければわからないというのが現状です。流星の元になる砂粒は大きくても1g程度で、雨雲のようには直接観測することがほとんどできないからです。
 したがって、これらの帯の位置がずれてるかもしれませんし、また未知の帯に遭遇する可能性も否定できないというわけです。

●観測日は?観測時刻は?

 しし座流星群は11月に入って少しずつ流れ始めています。しかし本当に多く見られるのは1晩〜2晩でしょう。

 上述のアッシャーさんたちの帯を参考に考えると、11月17〜18日の晩、18〜19日の晩の2晩が注目されます。どちらが多く流れるかわかりませんので、できれば両方眺めたいところです。実際、昨年は多く流れるだろうと思われた晩よりも、翌晩の方が活発だったりしました。
 また熱心に観測するならば、16〜17日の晩も注意する必要がありそうです。

 次に観測可能な時間帯ですが、23時〜明け方までです。これは以下の理由によります。
 しし座流星群は、流れた流星の経路を逆にたどると、しし座の大がまと呼ばれる付近に集まります。これを輻射点(ふくしゃてん、最近は放射点:ほうしゃてんと言う)と呼び、地上から見た場合に流星が飛び込んでくる方向を示してます。このため輻射点(しし座)が地平線の下にあるうちは、流れる流星も地平線の下となり、流星は見られません。
 輻射点は23時頃に地平線から上ってきますので、この時刻から明け方まで観測できることになります。
 ただし、輻射点が上ってからしばらくは、見られる流星が少なくなってしまうので、効率よく見るならば1時〜明け方がおすすめとなります(とはいっても、23時〜1時に大出現が起こらないともいえないのですが・・・)。


 なお、このページは作成中です。もう少し加筆したいと思います(と書きつつ、極大を迎えてしまいました・・・)



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