目は暗い場所では瞳孔が徐々に開いていき、また視細胞も暗いものを見るための働きをするようになります。これには時間にして30分から1時間ほどもかかかります(暗いものを見ることに順応していくことを暗順応といいます)。暗い流星を見るためには、このような暗順応が必要になります。
一方、明るくなるときには瞬時に瞳孔が狭まり、余計な光が入らないように目を防護します。このように明順応してしまうと、また目が暗順応するまでには長い時間をかけないといけないのです。
常に車のヘッドライトや、減光してない懐中電灯で照らされていると、目は完全には暗順応しない状態となってしまうのです。こうなるとせっかく暗い場所まで足を運んでも、暗い流星が見られず、市街地とあまり変わらない状況になってしまいます。
当然カメラのフラッシュ・ストロボなどはもってのほかです。星も写らないばかりか、自分の目も流星を見えなくします。
これは減光するだけでなく、赤い光に対しては暗反応した目が反応しづらいという意味合いがあります。つまり赤い光だけを見ている場合は、ライトを消せば暗反応した状態にすぐに戻るのです。
したがって観測には赤く減光したライトを用意すべきでしょう。しかしながら、自分が暗がりを移動したりする場合には、これだけでは危険な場合もありますので、両方持ち歩き、場合によって使い分けるのが良いと思います。
そして明るいライトを使用する際も、最低限にして、極力人のいる方向には向けず、足下を照らす程度に心がけるべきでしょう。
しかし、しし群のような場合は、多くの普通の人たちが楽しみますので、安全面を考えれば必ずしもそれは勧められないケースもあります。みんなが不快感を少なく観測するためには、駐車場に入って可能ならばスモールにする、そうでなくとも車を停止させたらすぐにライトを消す、などを心がけるようにします。
しかしながら、車が往来する場所では落ち着けませんし、目も暗さに慣れません。結果的には、自宅付近の公園などで、街灯を極力避けた場所でも見える流星の数は同じ、ということにもなります。あえて遠出を避けるのも、一つの手段となります。
その際に注意したいのが、騒音です。流星は明け方にかけて流れますが、全ての人がしし群に注目しているわけではなく、寝静まっている方も多くいます。昨年は騒ぎ声が騒音となり、苦情も多かったと聞いています。
明るい流星が流れるとつい声も出てしまいますが、どうぞできるだけお静かに観望して下さい。
私どもは、この観測地が今後、立ち入り禁止措置などにより使えなくなるのが嫌だったため、仕方なくこのゴミをメンバー10名あまりで拾って帰りましたが、各地では行政や自衛隊が出動するほどにまでなった場所もあったそうです。
観測の場合は暗い中やってきて、明け方まだ暗いうちに帰る方も多いため、ちょっとならいいだろうという意識も働きがちですが、明るくなってから見ると愕然とします。ゴミは必ず持ち帰ってください。
特に吸い殻を芝生や枯葉の積もった場所に捨てるなどは問題外。火事さえ起こる危険があります。知らないもの同志でも、注意し合うようお願いします。
是非悲しい事故が起こらぬよう、計画にはゆとりを持って臨まれることをおすすめします。近場の公園などで、街灯を避けるなどして見ることも、ヘッドライトに悩まされながら見るよりはずっと落ち着いて見られるものです。
以上、思いついたままに書きましたが、ライトの件を除けば日常生活のマナーと変わりません。夜間の観測というと普段と違う雰囲気で、つい浮かれがちですが、大きな事故や問題が起こらないよう、常識ある行動をお願いします。