こんな悪条件でしたので、もっときちんと晴れたところでは、例えば1時間に20個以上は見えてるんではないかと思うのですが、特に関東近辺は天気が悪くとらえられなかったようです。どなたか、観測した方はいらっしゃいませんでしょうか。
観測場所:長野県車山付近 観測時刻:19:20頃〜20:20 5個(怪鳥個人の数) ※ここだけ開始時刻あいまい。 20:20 〜21:20 2個(同上) 21:20 〜22:20 2個(同上) 平均雲量は9以上?。但し晴れ間の最微星光度は6等程度。 また、常に空を監視していたわけでもなく、休み休みでした。
以上から、今回のジャコビニ群の突発出現は、20時頃を極大にHR=20〜30程度と考えられます。また、19時前の薄明時期に極大があった可能性も、否めないと思います。母天体であるジャコビニ・チンナー彗星の軌道から計算される極大は9日12時頃で、これよりも8時間ほど極大は遅くなったことになります。
今年予想外に突発出現があったこと、また極大がかなりずれたことの理由については、今後研究されることでしょう。怪鳥自身も、鋭意計算中ですが、芳しい結果は得られてません。なかなかジャコビニ群は奥が深い流星群です。
それにしても、この突発出現の観測者は非常に少なかったですね。これは観測者の多い関東地方周辺が曇ったことと、ジャコビニ群の極大が前夜であると錯覚されたことに原因がありそうです。本来ならば8日の晩、9日の晩、両方注目する必要がありました(これは昨年のしし群にも言えることで、予想極大の前の晩の方が活発だったのでした)。
ジャコビニ群については、今後も毎年、注目しなければならない流星群でしょう。
以下は事前掲載情報です。
母天体のジャコビニ・チンナー彗星は約6.5年で一回りして太陽の近くに戻ってくる彗星です。周期に「0.5年」の半端があるため、一回りごとに帰ってくる時期が半年ずれ、春に戻ってくる場合と秋の場合が、交互になります。
地球は10月8日〜9日ころ彗星軌道と接近しますので、秋に戻ってくる2回りごと(13年ごと)に、彗星と地球は接近します。
流星の元になる彗星から放出された砂粒は、彗星の近くを一緒に移動してますので、彗星が地球に接近するときには、彗星の前後に砂粒もたくさん戻ってきます。この砂粒の流れの中を地球が通過すると大出現となるため、13年に一度、流星の大出現するチャンスが巡ってくるわけです。接近した年と出現状況は、下記の通りです。
年 出現状況 1933年 ヨーロッパで1時間に数千個 1946年 アメリカで1時間に数千〜数万個 1959年 出現せず 1972年 期待されたものの、ほとんど見られず 1985年 日本で1時間に数百個 1998年 日本で1時間に百個弱程度全く流れない年もありましたが、ほぼ13年おきに出現していることがわかります。逆に今年は昨年彗星が接近したばかりで、しかも大出現したその1年後です。大出現となる可能性は非常に低いと言えます。
今年は彗星も遠ざかり、砂粒の分布の濃い部分は遠ざかっている。
しかしながら、一昨年の1997年には一部の観測者で出現が認められました。数こそ1時間に数個と少なかったのですが、彗星の接近する年以外ではっきりとした出現が確認されたのは、ほとんど初めてのことでした。
したがって、一部の流星物質は100年の間に拡散が進み、彗星からだいぶ時間差をおいて戻ってくるようになっている可能性がなきにしもあらずです。彗星接近から約1年経った今年ですが、少ない数ならばジャコビニ群が出現する可能性はあると思います。ただしその規模は1時間に数個から、最大限でも10個程度でしょう。
輻射点はりゅう座にあり、夕方から宵にかけて北西の空に位置します。流れた流星を逆にたどると、この方向に集まることになります。
輻射点は、深夜になると地平線近くの低い位置になり、見られる流星数は物理的にとても少なくなります。このため、夕方から23時頃までが勝負となります。
ジャコビニ群の流星はふわーっとした感じでゆっくりと流れますので、こんな流星が夕方、北西の方から流れてくるように見えたら、ジャコビニ群だと思って間違い有りません。
極大は10月9日の昼間と予想されてます。このため、注目するのは8日の夕方、9日の夕方となるでしょう。どちらかと言えば、9日の方が可能性が高いかもしれません。
来月のしし群、12月のふたご群に比べれば、相当期待度の低い流星群ですが、ちょっとだけ注目してみてはいかがでしょうか。