'98年のジャコビニ流星群の情報

 10月8日までに掲載していた事前情報です。ジャコビニ群の簡単な解説です。


 ユーミンの歌にもなった有名な流星群が、今年10月8日晩に見られるかもしれません。場合によると流星雨の可能性もあります。このジャコビニ群の話題です。


 毎年、決まった日にたくさんの流星が見られることがあります。8月12日頃のペルセウス座流星群や12月14日頃のふたご座流星群などです。これは太陽系の中には流れ星の元になる砂粒のような物質の流れがあって、この流れの中を地球が通過するからです。

<13年に一度のチャンス>

 ところが何年かに一度しか見られない流星群があります。ジャコビニ流星群(ジャコビニ群)もこのような流星群で、過去に3度だけ大出現を記録しています(出現状況を下にまとめます)。

  年     出現状況
1933年  ヨーロッパで1時間に数千個
1946年  アメリカで1時間に数千〜数万個
1959年  出現せず
1972年  期待されたものの、ほとんど見られず
1985年  日本で1時間に数百個
1998年  ??
(注:上記以外にも昨年のように、少数出現した年はあります。)

<母彗星はジャコビニ・チンナー彗星>

 ジャコビニ群は、ジャコビニ・チンナー彗星(ジンナー、ツィナーなどとも書かれます)から放出した砂粒が、地球に飛び込んでくるものです。
 彗星は氷やドライアイスと塵や砂粒などが固まった物体で、太陽に近づくと熱せられて、ガスや塵、砂粒を吹き出します。この砂粒が地球に飛び込んでくると、大気とのまさつで光を出して流れ星となって見えるのです。

 ジャコビニ・チンナー彗星は約6年半で一回りして太陽の近くに戻ってきますが、二回りする13年ごとに地球に接近します。放出された砂粒は彗星の近くを彗星とともに一緒に移動してますので、彗星が地球に接近するときには、彗星の前後に砂粒もたくさん戻ってきます。この砂粒の流れの中を地球が通過すると大出現となります。したがって13年に一度チャンスが訪れ、そして今年1998年がそのチャンスの年になっているというわけなのです。

<予想は難しい>

 しかし2回前のチャンスだった1972年は、日本でもちょっとした大騒ぎになりましたが、ジャコビニ群はほとんど流れませんでした。予想は大きくはずれたのでした。現在ではこれは砂粒の流れが地球の軌道からそれたところを通ってしまったからだと考えられてます。
 実際には流れ星の元になるような砂粒は大きくても数グラムで、現代の観測技術を持っても砂粒の流れを直接観測できず、このジャコビニ群の出現状況を完全に予想することは大変難しいことなのです。

 今年が上の図のどのパターンになるかは、ふたを開けてみないとわかりません。

<時間帯も重要>

 砂粒の流れの中を通過するのにかかる時間、つまり流星が見えてる時間はとても短く、長くても数時間と言われてます。このため通過する時間帯も重要になります。もし日本の昼間に当たれば、ヨーロッパかアメリカでは流星が見られても、日本では見られないことになってしまいます。こちらの予想も難しく、10月8日の夜から10月9日の明け方まで様々な意見があります。

 日本で条件が良いのは、(日本時間の)夕方から真夜中前に流れの中を通過する場合です。この場合は少なからず流星が捉えられることでしょう。一応明け方までに流れの中を通過すれば、流星が見られる位置関係にあるので、流星観測者は10月8日夕方から10月9日の明け方まで、一晩中空を監視することになりそうです。

<ジャコビニ群にこう取り組む>

 このように低いながら流星雨になる可能性がありますので、私たちFAS府中天文同好会では空の暗い場所まで遠征して一晩中空を監視する予定にしています。

 もし皆さんに気合いがあれば、やはり空の暗いところで監視してみて下さい。

 しかし、「そこまで頑張っても、もし流れないとやだな」という方もおられるでしょう。その場合には、ぜひご自宅付近で見ることもおすすめします。例えば前回の1985年には、私もこの府中で1時間に26個ほどの流れ星を数えました(それもだいぶ流星のピークを過ぎた頃でした)。
 最近はどこも街灯りが増えて星が少なくなりましたが、あきらめずに10月8日の夜は星空を注目してみてみましょう。もしかしたら、たくさんの流れ星に出会えるかもしれませんよ(でも出会えなくても当方は一切責任はとれませんので、あしからず)。

 ちなみに、ジャコビニ群の流星はふわーっとした感じでゆっくりと流れます。こんな流星が北西の方から流れてくるように見えたら、ジャコビニ群だと思って間違い有りません(図参照:輻射点がりゅう座にあり、流星を逆にたどるとこの辺りに集まります)。
 時間帯は夕方から23時頃までがおすすめです(が、その後明け方まで流れる可能性もありますので、気のすむ程度にしましょう)。

 観測する場所は、できれば北西側が開けた場所を選んで下さい。グランドシートやサマーベッドに寝転がって、真上からやや北西よりを見るのがベストです。
 街灯が直接目に入らないようにすると、より暗い流星まで見やすくなります。また月も夕方早々に上ってますので、視野に入らないようにすると良いでしょう。
 天気によっては相当冷え込みますので、たくさん着込むことも忘れないようにしましょう。

 果たして大流星雨になるのか、一個も見られないのか、1時間に数百個の賑やかな出現になるのか・・・。それは今の時点では誰にもわかりません。ちなみに怪鳥は(もちろん頭の片隅には流星雨の期待はしていますが)1時間に10個の流星が見られたら、相当感動します。
(当会寺久保さんは、1個でも見られたら感動すると定例会で語ってくれました(^^;)

 では良い天気で、たくさんの流星が流れることを祈ります。
 (もし流れなかったら、一緒に悔しい思いをしましょう・・・。)


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