'96年のふたご座流星群の情報(解説)

 ふたご座流星群が、12月13日の夜、極大となります。空のきれいなところでは、1時間に50個程度の流星が期待されます。



<流星の正体>

 流星は、そのほとんどが彗星(ほうき星)がまき散らした砂粒から小石のような塵が地球の大気にたまたま飛び込んできて、大気との摩擦で高熱となり光が出て見られるものです。

 ところがふたご座流星群は、「パエトン」と言う名の小惑星が母天体らしいのです。小惑星の軌道と、ふたご座流星群の「もと」の軌道がほとんど一致するからです。つまり、この「パエトン」は、ほうき星がガスを放出しきってしまって、彗星のように輝かず、岩石の塊となったものではないかと考えられるのです。

<名前の由来>

 さて、群流星の場合、流星が流れ出した方向へさかのぼってたどってみると、ある一点に必ず集まります。この点を「輻射点」(ふくしゃてん)と呼びます。ふたご座流星群の場合、この「輻射点」がふたご座のα星(カストル)の近くにあります。このため、ふたご座流星群と呼ばれるのです。

 したがって、ふたご座流星群はふたご座だけに流れるのではありません。輻射点を中心に、空のほぼ全体に流れます。

 ちなみに輻射点は、流星のもとの塵自体が地球に飛び込んでくる方向をおよそ示しています。

<何日頃がよいのか〜極大の話〜>

 群流星が多く見られるのは、流星のもとになる物質の密度が最も濃い部分を、地球が通過するときになります。このもとになる物質が観測できれば流星群の極大も予想できそうなのですが、流星になって光る前は小さくて暗いため、とても観測することができません。このため、過去の観測から予想するしかありません。

 ふたご群群自体は、12月5日頃から見られると言われてますが、極大から離れた夜は、多くても1時間に数個しか流れません。今年極大にあたるのおすすめの日は、13日の晩から14日の明け方にかけてです。13〜14日の真夜中あたりに、過去に観測された極大がくると予想されてます。空のきれいなところでは、1時間あたり50個程度の流星が見られるかもしれません。

 但し、ふたご群の場合は、極大のピークが比較的なだらかなので、前後の晩も結構流れます。もし13日の夜天気が悪かったりしたら、14日の夜に再度チャレンジするとよいでしょう。1時間に20〜30個程度はいけるんじゃないでしょうか。

 東京のような明るい空でも、よく晴れていればその半分から4分の1くらい見られるかもしれません。

<何時頃がよいか>

 流星群は、輻射点と呼ばれる点が、空の高い位置にあればあるほど、多くの流星が流れます。他の流星群では、明け方に輻射点が高くなる場合が多いのですが、このふたご群は、ちょうど真夜中に輻射点が高くなります。このため、比較的早い時間帯から流星が見られるでしょう。例えばすぐ下の図は、午後10時(22時)頃の空ですが、この頃には、もう多くの流れ星が流れ始めてます。

 その後は真夜中にかけて輻射点が高くなり、流星の数も多くなっていきます。1時頃には、輻射点が高く、空の上の方から四方八方へ、流星が流れていくように見られることでしょう。13日の晩は、前述の極大も真夜中に当たりますので、0時〜2時頃はおすすめの時間帯です。もちろんその後も、明け方まで流星は見え続けます。

<どこで、どうやって見ればよいか>

 基本的には寝っ転がって、頭の真上を見るのが普通です。上の図からもわかる通り、ほぼ全天にまんべんなく流れますので、なるべく視界の広い場所が観測に適してます。この時には私たちは、厚めのレジャーシートの上に銀マットをひいたり、汚れてもいいような古毛布をひいたりしてその上に寝っ転がって観測してます。寝袋があればかなり温かいですね。

 また場所は、空が暗ければ暗いほど、よい条件となります。冬の天の川が見られるようなところならば、ベストです。
 また、流星の数が多いので、きれいに晴れ上がれば街中でも流星が楽しめそうです。この時は、できるだけ街灯が直接視野の中に入らないような場所を選びましょう。視野をあまりじゃましない小さな木で、街灯を隠す場所を選ぶような工夫も、結構効果があります。

 輻射点が高くなった頃は、比較的地平線近くの空にも流星は流れてます。ここだけの話ですが、寝っ転がるよりも多く見られてる時もありそうな気がしてます。無理に寝っ転がらないで、空を斜めに見上げるような感じでも楽しめますので、色々工夫してみましょう。

<寒さに注意!>

 この時期、明け方に晴れ渡っていれば、相当冷え込むことが考えられます。暖かい格好(ダウンジャケット、スキーウェアー、靴下の2枚重ねなど)をお忘れなく。使い捨てカイロを腰にあてるなどもよいようです。



 
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