2004年のしし群の1001年放出トレイル

計算:佐藤幹哉


 このトレイルは、Vaubaillonさんによって見いだされたトレイルです。このトレイルについて当方で計算してみましたので結果をまとめます。このトレイルは非常に古いトレイルですが、fM値が比較的大きく、また多くの部分が重なるように回帰しています。計算結果だけから判断すると、おそらく木星の摂動がよい方向に働いて、ダストが集まりやすくなっている部分ではないかと推測されます(詳細は確認しておりません)。
 ただし今年接近する部分は、放出速度がとても速いため(約47〜50[m/s])、もし出現したとしても流星光度が暗い可能性が高いです。はたして検出されるかどうか、非常に興味深いと言えるでしょう。

 なお出現時期は大変早く、11月9日午前中です。時間帯は8時〜9時台(一部〜12時台)と残念ながら日本から観測できませんが、古いトレイルなので分布が大きく広がっていれば、明け方日本でその一部を観測できるかもしれません。また、電波観測では観測可能な時間帯です。

 もし実際にこのトレイルからまとまった出現が確認できた場合には、しし群のトレイル分布をさらに広く計算する必要性に迫られます(個人的には、とても大変になります)。


図3 1001年放出トレイルの分布

表4 1001年放出トレイルの詳細データ

放出年放出速度Δa日付時刻太陽黄経Δr(AU)fM値αdegδdegV(km/s)
1001-a27.950.3011/0815:27226.133+0.01180.36147.8924.9070.00
1001-b49.340.5311/0908:30226.846+0.00270.11148.1524.8570.21
1001-c49.510.5411/0908:40226.853-0.00040.015148.2324.8070.27
1001-d49.460.5311/0908:42226.855+0.00160.0074148.1824.8470.23
1001-e47.500.5111/0909:26226.885-0.00080.13148.2824.8870.28
1001-f47.140.5111/0911:49226.985-0.00410.020148.2924.8970.35
1001-g47.100.5111/0912:04226.995-0.00440.0024148.2924.8970.36
1001-h47.020.5111/0912:42227.022-0.00500.0018148.3124.8970.37
1001-i47.020.5111/0912:44227.023-0.00490.0036148.3124.8970.37
※時刻は日本時。

 データからは、1001-cの部分(8時40分)と1001-eの部分(9時26分)の寄与が大きそうですが、結果はどうなるでしょうか。


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