Table.1 2003年接近のトレイルの計算結果
放出年 | 放出速度 (Δa) | 位置 | 日付 | 時刻 (JST) | 太陽黄経 (2000.0) | 距離Δ(AU) | 予想輻射点 | 速度 (km/s) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
α | δ | ||||||||
1466 | 26.9m/s (0.274) | 降交点 最接近 | 11/14 11/14 | 04h50m 02h35m | 230.97 230.88 | -0.0022 -0.0021 | 150.7 | +22.9 | 70.6 |
1499-1 | 24.3m/s (0.252) | 降交点 最接近 | 11/14 11/14 | 03h05m 08h10m | 230.90 231.11 | +0.0033 +0.0032 | 150.8 | +23.5 | 70.4 |
1499-2 | 26.5m/s (0.275) | 降交点 最接近 | 11/13 11/13 | 22h00m 23h40m | 230.68 230.75 | +0.0012 +0.0012 | 150.6 | +23.4 | 70.5 |
1533 | 27.6m/s (0.296) | 降交点 最接近 | 11/19 11/19 | 15h50m 16h25m | 236.47 236.50 | +0.0006 +0.0006 | 154.3 | +21.8 | 70.6 |
1733 | 17.5m/s (0.184) | 降交点 最接近 | 11/20 11/20 | 01h40m 03h35m | 236.88 236.96 | +0.0036 +0.0036 | 154.6 | +21.2 | 70.6 |
※時刻は5分精度で算出
※2003.11.11 若干訂正
※2003.11.13さらに修正
※2003.11.18さらに1733年を追加
この結果、1466年および1499年に放出されたトレイルは、通常の極大といわれる日付(11月18日前後)よりもかなり早い11月13〜14日の晩に地球と遭遇することとなりました。1499年放出トレイルは、折れ曲がったU字の格好をしており、その折り返し部分に近い2本のトレイルと遭遇します。一つ目(1499-2)は日本からはやや条件が悪い(輻射点がのぼるのは23時頃)ものの、もう一つ(1499-1)は一応観測できる時間帯にあたります。ただし、一つ目の方が地球には接近します。
一方、1533年のトレイルは11/19の昼間にあたり、日本からの観測はできません。
これらの位置関係図を下に示します。
fig.1 地球軌道とトレイルの遭遇(1466年,1499年トレイル)
fig.2 地球軌道とトレイルの遭遇(1533年,1733年トレイル)
ライチネン氏らの論文(EMP 82-83, 149-166, 2000, Lyytinen and Tom Van Flandern, Predicting the Strength of Leonid Outbursts)によると、1466/1499年のトレイルは、11月13日22時〜14日4時(JST、太陽黄経230.69〜230.78+)で遭遇すると計算されています。
またアッシャー氏はこの論文について確認の計算をしていて、1499年トレイルが11月13日19時〜14日7時(JST)、1533年トレイルが11月19日15時30分(JST)に遭遇すると発表されています(月刊天文ガイド2003年11月号, P121など)。
またその後Vaubaillon氏ほかにより、これらの論文がまとめられました(WGN 31:5, 131-134, 2003.)。
今回の怪鳥の結果も、これらの計算と数時間内の差で一致しました。以下の表にこれらをまとめます。
Table.2 計算結果(予想時刻)の比較
放出年 | ライチネン氏ら | アッシャー氏ら | Vaubaillon氏 | 怪 鳥 |
---|---|---|---|---|
1466年 | 11/13 22時 〜 11/14 4時 | − | − | 11/14 4時50分 |
1499年 | 11/13 22時15分 11/14 3時20分 | 11/14 2時17分 | 11/13 22時00分 11/14 03時05分 | |
1533年 | 11/19 17時 | 11/19 15時30分 | 11/19 16時28分 | 11/19 15時50分 |
1733年 | 11/20 1時50分 | − | − | 11/20 1時40分 |
※時刻は日本時(JST)に合わせてあります
なお、これらのトレイルは、最初に彗星から放出された速度が大きいため(怪鳥の計算で27[m/s]前後)、構成される流星はかなり暗めと考えられます。また放出されてからの経過時間がかなり経っているため、流星物質が拡散している可能性が高いと考えられます。
このため、これらの予想時刻の出現は、過去1999年、2001年、2002年などに見られた若いトレイルからの大流星雨のような可能性は少ないと推定されます。どのくらいの出現になるかはわかりませんが、多少なりともまとまった(例えばHRで数十くらい)活動が見られればよいかな、と期待しております。
ちなみに、今回の1499年トレイルに放出速度・接近距離が似かよった条件では、2000年に遭遇した1932年トレイルが挙げられます。このときはZHRで100くらいの小さな極大が観測されています。
またその後、アッシャー氏から、彼の計算した1733年のトレイルが11/20に接近すること、その予想数が上方に修正されることの情報が流されました。この内容を受けて、怪鳥が計算した結果、ライチネンさんとほぼ同様の時刻が計算されました(1/20 1時50分)。この時間帯は、日本から観測可能な時間帯です。ただし距離が少し遠いため、どの程度流れるのかはわかりません。ライチネン氏は非重力効果を念入りに計算した結果、流星数を上方修正したようですが、当方の計算はこの効果は加わってません。