fig.1 降交点通過と位置の関係
(1900年以降放出トレイル、放出速度:-30〜+30[m/s])
Fig.1の通り、トレイルは木星の摂動の影響を大きく受け、複雑に分布していますが、2004年にはあまり接近しないことがうかがえます。
一方、2005年には1953年放出のトレイルが接近しそうな結果を得ています。しかしこの点について数値積分による詳細計算を行ったところ、0.010[AU]までしか接近しないことを確認しております。これは流星が出現する可能性はありますが、大出現まではしない条件と推定されます。
fig.2 降交点通過と位置の関係
(1894年以前放出トレイル、放出速度:0〜+15[m/s])
1817年〜1894年に放出されたトレイルは、この期間に木星の摂動をあまり受けなかったため、1900年以降も比較的まとまった挙動を示します。しかし1933年の回帰の際、[+]放出側のトレイルは大きな摂動をうけ、乱れます。
その後も何度かの木星との接近を繰り返した結果、2005年の回帰時には上記のように、非常にまとまりのない分布を示すことになりました。
これらのトレイルは、時折地球軌道に接近し、小さな出現を見せる可能性があると考えられます。
なお、上図は2005年の回帰について、2007年までグラフで示してありますが、帯は数年先まで広く分布します。したがって実際には、1998年回帰のトレイルが上図の期間にも広く分布しています。
※2004.9.30追記
なお、これらのトレイルからの流星が2004年に出現するとの見解が一部で出されているようですが、トレイルのこの部分は、1945年と1981年に木星に接近し、また1997年に地球と接近して大変引き延ばされた濃度の小さい部分であり(1回帰トレイルのおよそ10万分の1程度)、本年の出現は見込み薄と判断しております。
fig.3 降交点通過と位置の関係
(1894年以前放出トレイル、放出速度:-15〜0[m/s])
一方放出速度が[-]側での放出では、[+]側よりも木星の摂動をあまり受けず、この2005年回帰のこの時期まで比較的まとまった挙動を示します。
この結果、1817年〜1873年放出トレイルについて、2004年にまとまって遭遇する可能性がある結果が得られました。
これらは、数値積分によって計算しなければ詳細な分布はわかりませんが、ある程度の長い時間にわたって出現が観察される可能性があります(例:1998年のポン・ウィンネッケ彗星関連群による出現)。また、その中で地球軌道と接近するトレイルがあれば、まとまった出現が起こる可能性があると推定されます(例:1998年のジャコビニ群の出現)。
ただし、これらは実際には観測されていない、計算上の彗星の軌道から計算されたものです。彗星は比重力効果など、力学的に計算されない要素により、計算上の軌道に誤差が生じます。また上記は概略計算の結果なので、数値積分による詳細結果では、多少異なる傾向を示すこともあります。
このようなことを考慮しながら検討し、今後詳細に計算をしていきたいと思います。