X軸:降交点通過時刻(T1) Y軸:降交点通過時の太陽との距離(r)
図1. 流星物質の接近の様子
彗星は1972年以降では1982年、1994年に木星に接近し、軌道が少しずつ変化する。流星物質も同様に木星の摂動を受け、木星との接近のタイミングで分布が大きく変化することが示された。
1972年、1978年に放出した流星物質は、彗星本体の軌道よりもかなり地球に近づく軌道が得られた。特に1978年に-15m/sで放出された物質は、0.005AUまで接近し、十分に流星出現の可能性が考えられる結果となった。
降交点 /最接近 | 接近時刻 | 太陽黄経 | 距離 | 輻射点 | 流星速度 | 放出年 | 放出速度 | |||
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年月日 | 時 | (2000.0) | (AU) | α | δ | (km/s) | (m/s) | |||
降交点 | 2001/10/27 | 21h | 214.11 | -0.046 | 296゜ | +27゜ | 13.0 | 彗星本体 | ||
最接近 | 2001/10/28 | 00h | 214.24 | -0.046 | 295゜ | +27゜ | 13.0 | |||
○ | 降交点 | 2001/10/28 | 11h | 214.71 | 0.015 | 292゜ | +30゜ | 12.6 | 1972 | -6.5 |
最接近 | 2001/10/28 | 16h | 214.91 | 0.015 | 292゜ | +30゜ | 12.6 | |||
◎ | 降交点 | 2001/10/28 | 15h | 214.85 | 0.005 | 292゜ | +32゜ | 12.5 | 1978 | -15 |
最接近 | 2001/10/28 | 17h | 214.95 | 0.005 | 292゜ | +31゜ | 12.5 |
表1.は接近する流星物質について、その降交点通過日時、最接近日時、太陽黄経、接近距離、輻射点、流星の速度をまとめたものである。
1972年に-6.5m/sに放出された流星物質は0.015AU、1978年に-15m/sで放出された物質は0.005AUと地球軌道に接近することが示された。地球はこれらと10月28日の午後に接近する。
予想輻射点は、彗星本体の軌道から計算されるものと比較して、数度のずれがあるが、ほぼ同じ位置である。
一方、放出された流星物質の中には、彗星軌道よりも地球に接近するものが存在する結果を得た。特に1978年に放出された物質の中には、0.005AUと極めて地球に接近し、流星出現が期待される結果となった。
軌道との接近時期は、10月28日11h〜17hである。また軌道傾斜角が比較的小さいため、1978年の物質の場合10月26日〜30日で0.01AU以内となる。
なお、日本流星研究会の長田氏が、10月27日夕方、α293゜、δ+26゜より出現する流星群の輻射点を検出している(NMS同報メールより)。これは本彗星から予想される流星群の輻射点位置に近く、関連群の可能性がある。