みずがめ座η群について、ハレー彗星(1P/Halley)からのダスト・トレイルについて計算したところ、-835年(紀元前836年)に放出され形成されたダスト・トレイルが、2007年に接近することが判明しました。
5月6日深夜(日本時)、ダスト・トレイルによる極大が観測できるかもしれません。
概要を以下の表・図に示します。
表1 2007年のみずがめ座η群のおもなダスト・トレイルのデータ
放出年 | Date (UT) | Time (UT) | Time (JST) | LS (2000) | Δr (AU) | 放出速度 (m/s) | Δa (AU) | fM | α (゜) | δ (゜) | Vg (km/s) | 備考 |
-835 | 2007/05/05.88 | 21:06 | 05/06 06:06 | 44.892 | +0.0092 | -20.04 | -0.739 | 0.0083 | 337.28 | -1.14 | 65.70 | |
-835 | 2007/05/05.89 | 21:18 | 05/06 06:18 | 44.901 | +0.0090 | -20.04 | -0.739 | 0.0067 | 337.28 | -1.14 | 65.70 | |
-835 | 2007/05/06.56 | 13:28 | 05/06 22:28 | 45.553 | +0.00068 | -20.29 | -0.747 | 0.018 | 337.72 | -0.91 | 65.93 | 要注意 |
-835 | 2007/05/06.62 | 14:57 | 05/06 23:57 | 45.613 | -0.00010 | -20.26 | -0.747 | 0.046 | 337.76 | -0.89 | 65.95 | 要注意 |
-835 | 2007/05/07.47 | 11:13 | 05/07 20:13 | 46.430 | -0.011 | -20.62 | -0.759 | 0.082 | 338.33 | -0.56 | 66.24 | |
-835 | 2007/05/07.47 | 11:16 | 05/07 20:16 | 46.432 | -0.011 | -20.62 | -0.759 | 0.062 | 338.33 | -0.56 | 66.24 | |
-835 | 2007/05/07.48 | 11:24 | 05/07 20:24 | 46.437 | -0.0099 | -20.21 | -0.745 | 0.028 | 338.32 | -0.58 | 66.22 | |
-835 | 2007/05/07.59 | 14:07 | 05/07 23:07 | 46.547 | -0.011 | -19.99 | -0.737 | 0.0080 | 338.40 | -0.53 | 66.26 | |
-835 | 2007/05/07.66 | 15:50 | 05/08 00:50 | 46.616 | -0.014 | -20.29 | -0.748 | 0.011 | 338.46 | -0.51 | 66.32 | |
-835 | 2007/05/07.69 | 16:33 | 05/08 01:33 | 46.645 | -0.015 | -20.49 | -0.754 | 0.026 | 338.48 | -0.48 | 66.34 |
* fM > 0.005, |Delta-r| < 0.02 AU.
図1 2007年のダスト・トレイルの分布(黄道面による断面図)
*色のついた楕円 : fM > 0.01 のトレイル
要注意のトレイルは2カ所あり、それぞれ5月6日の22時28分(日本時・以下同)と23時57分に地球と接近します。したがって、およそ22時30分〜24時の間での極大が期待されます。この時間帯は残念ながら日本では輻射点が地平線の下にあり、流星は観測できません。
しかしこれらのダスト・トレイルは非常に古く、また摂動で大きく曲げられているため、図よりも分布が広い可能性が高いです。このため、極大が、なだらかで前後に長く続く可能性があります。その場合には、日本でも観測できる可能性があります。
なお一方で、期待通りに極大が検出できない可能性もあります。元もと、みずがめ座群は南半球では大流星群で、ZHRが60にのぼるとされます。このような大流星群に対して、今回のような古いトレイルが接近することで、どの程度出現が増加するのかは未知数だからです。もしかしたら、通常の出現数に埋もれてしまうことも十分に考えられます。
しかしながら、このように事前にトレイルとの接近が予報されて、みずがめ座η群の観測に臨むことができるのは今回がはじめてのことですので、ぜひ注意深く観測して頂きたいと思います。
今回の内容は、CBET No.944 (2007 APR 25) に掲載されました。
また、星ナビ2007年5月号誌面上でも紹介させて頂きました。