核近傍の波紋状の模様について
2月頃半ば頃から、ヘール・ボップ彗星を拡大してみたとき、中心の核の近傍に波紋のような模様が見られるようになりました。
これは核に顕著なジェットの吹き出し口があり、これが自転した場合、丁度らせん状にダストが吹き出されることにより見られるもののようです(私はあまり詳しくないのですが、セカニナさんという方が10年くらい前にモデルを考えているそうです)。
ですが、自分の頭の中で考えていてもよくわからないので、ちょっとグラフ化してみました。なんかきれいに出来たので、ご紹介します。
なお便宜上、
- 自転周期 11 時間
- ジェットの緯度 60 度
- ジェットの放出速度 300 m/s
- 彗星−地球間距離 1.4 AU
と仮定して計算させたつもりです(自信はありません)。描画は、左のグラフはExcelのグラフ機能で、右の実際の想定図は、グラフの画像を元にフォトレタッチソフトで反転してぼやかしてみました。
グラフの目盛りは角度の1分に相当します。
自転軸の真横から見た場合
この時の見え方は
となり、横にバネ状に見えそうです。
視点と自転軸の傾き 45 度の場合
この時の見え方は
となり、右上と右下にジェットが伸びているように見えそうです。
視点と自転軸の傾き 30 度の場合
この時の見え方は
となり、ジェット状のものが上下に見え、その右側に波紋の様な模様が見えそうです。
自転軸方向から見た場合
この時の見え方は
となります。この図は元の図を描いた時の濃淡が出てしまって、あまりよくないのですが、蚊取り線香状に見られるかもしれません。
実際には、自転軸の方向、ジェットの吹き出し口の数などにより、複雑な様相を示すそうです。今後色々な方が観測・研究されて、その実体の解明がされていくものと思われます。
望遠鏡で100倍程度の倍率から見えると思いますので、観察してみてはいかがでしょうか。
怪鳥がとった4/10の核近傍のスケッチです。この構造が見られました。
お薦めリンク
- 長谷川均さんの彗星のページ
- PLANETと言うメーリングリストがありまして、こちらでこのモデルの情報を色々流して頂いた方です。実際の観測に合わせたシミュレーション画像などがあります。
- 月惑星研究会・関西支部のページのヘール・ボップ彗星
- 伊賀さんのスケッチと浅田さんのCCDによる波紋状模様の画像が見られます。
- Pic du Midi Observatoryによって撮影された2月28日のアニメーション
- まさに渦を巻いて放出していく様子が見られます。必見。
- 千村さんのHale-Bopp彗星1997年3月
- この中の3月2日に、波紋状の模様の画像が掲載されてます。
- 江草さんのほしのあ〜とぎゃらりぃの中のC/1995 O1 Hale-Bopp
- 核近傍の様子が追跡されてます。
- 久万高原天体観測館の彗星情報の彗星の画像
- ローテイショナルグラディエント処理によるジェットの詳細画像が多数納められてます。
- 海南天文台のCCDによる最近の1995O1ヘール・ボップ彗星
- この中の3月6日の画像などに、波紋状の模様が見られます。
- さじアストロパ−ク・佐治天文台のヘール・ボップすい星の画像集
- 103cmでの核近傍の像が見事です。
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