明けの明星といえば明け方の東空、宵の明星といえば夕方の西空と相場が決まってる気がしますよね。でも今、宵の明星の金星、西に見えます?
実は今年の金星は、南に低い位置にあります。ちょうど冬至の頃の太陽と同じような感じです。宵の明星の金星は、太陽を基準にして東にある程度離れるのですが、こんな条件が重なって、この頃の金星は西と言うより南の空に見えるのです。
上の図は、日没時の金星の位置を約10日おきに示したものです。これを見てもわかるとおり、日が暮れて金星が見える位置は、西から南の方へとずれていき、11月20日前後にはほとんど南南西の方角にまでずれてしまいます。
金星は約−4等と明るいため、日が沈む頃には肉眼で見ることができます。この時金星を見ると、南南西、つまりほとんど南の空に見えることになるでしょう。ちょっとお薦めなのは、良く自分で方角をわかってる場所で見ることです。「宵の明星は西空」と言う意識が強いと、違和感のある風景が広がりますよ。
ちなみにこのような南の空の宵の明星は、8年に1回見ることができます。詳しく説明しませんが、地球と金星の会合周期が1.60年で、この周期で地球と金星の位置関係が同じ様な状態になりますが、これが5回くり返すと7.99年(≒8年)となり、年の端数がなくなり太陽系内での位置関係もほぼ等しくなるのです。
怪鳥は16年前の中学二年のときに、この宵の明星に巡り会いました。南に向いた校庭で見る南に輝く金星は、なかなか不思議な光景でした。以来、今年で3度目となります。
なお、南東側に明るく輝いているのは「木星」ですので、お間違えなく。
今日見たらかなり紛らわしかったので、図を追加しました(10.31)。
日没からだいぶ時間がたつと金星は南西に低くなり、大気の影響でやや暗く見えるようになってしまいます。
そうなると、木星(約−2等)とあまり明るさが変わらなくなりますね。
我が家からの金星です。
やはりこれだけ金星が南の方角に回ると、見慣れた景色の中では不思議な光景に見えます。
日没後約25分の空。
上が青っぽく、下が赤っぽくなってるのは、大気の影響で光が屈折し、まるでプリズムのように分散してしまってるからです。
撮影:10月30日17時55分
機材:15cmマクストフカセグレン+デジタルカメラ