2002年のしぶんぎ流星群の報告

 2002年のしぶんぎ群(りゅう座ι流星群)の観測報告です。


<観測結果>

 当会では1月3〜4日にかけて、伊東市内で観測を行いました。極大が短いしぶんぎ群ですが、今年はその極大が観測できるのではないかと期待して臨みました。
Jan.03-04/2002
Time          min   Ls      h    Lm  Cl All Qua   HR  CHR  ZHR   Obs.        Rec.
--------------+--+-------+-----+----+--+---+---+----+----+-----+------------+------------
00h30m-01h00m  30  283.08  13.8  5.2  0   8   3    6   11   94  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
01h30m-02h00m  30  283.12  22.1  5.1  0   6   5   10   19   84  寺久保 一巳 佐藤 幹哉
02h00m-02h30m  30  283.14  26.5  5.2  0  10   5   10   18   62  佐藤 幹哉   菊地 信哉
02h30m-03h00m  30  283.16  31.1  5.1  0   9   6   12   23   62  寺久保 一巳 佐藤 幹哉
03h10m-03h40m  30  283.19  37.4  5.2  0  10   8   16   29   62  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
03h50m-04h20m  30  283.22  43.9  5.2  0  17  13   26   48   83  寺久保 一巳 佐藤 幹哉
04h25m-04h55m  30  283.24  49.7  5.2  0  15  13   26   48   72  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
05h00m-05h30m  30  283.27  55.4  5.0  0  25  22   44   89  119  寺久保 一巳 佐藤 幹哉

観測地:静岡県伊東市

 左から、開始-終了時刻(Time)、観測時間(min)、太陽黄経(Ls,2000)、輻射点高度(h)、最微星光度(Lm)、雲量(Cl)、全流星数(All)、しぶんぎ群流星数(Qua)、一時間当たりの流星数(HR)、修正一時間流星数(CHR)、天頂修正流星数(ZHR)、観測者(Obs.)、記録者(Rec.)です。

 しぶんぎ群の極大は複雑で、従来の日本の観測から得られたものは2つの極大の存在が、よくいわれてきました。今年は、一つ目が4日2時頃(極大1)、二つ目が4日の9時頃(極大2、ともに日本時)です。またIMO(国際流星機構)では、この中間あたりに極大があるとされます。

 したがって、今年は一つ目の極大付近が観測できるため、どのような動向になるか期待されたのですが、観測を見る限りでは、特に活発とはいえない状況でした。1時間あたりの流星数は、明け方に向けて増加傾向ではあったものの、30以下のままで推移しました。

 ところが、薄明が始まり、最後のタームとなった5時〜5時30分では、途中で1分間に5個も流れるような状態が観察され、この時間帯のみHR=44と、かなり活発な状態で観測終了となりました。このため、明け方以降に極大があったのではないか、と推定されます。

 実際、空が明るくなった後も観測可能な電波観測によると、4日の7時頃に最も出現数が多くなったようです。

 条件を補正したZHR値では、前半輻射点が低かったため、やや多い傾向がありますが過修正の可能性が高いです。


 さらに、ZHRについて、過去の当会の観測データに今年の観測を加えてみたのが右図です。
 これによると、大ざっぱに極大は283.35〜283.45あたりにありそうで、今年はその極大に向かうところが観察されたと考えられます。

 しかしながら、しぶんぎ群の全体像は非常に複雑で、微妙な極大の時刻は、年によって違っているのだと思います。
 これらを判明させるためにも、今後もさらに精度のよい観測を続けていきたいと思います。

 来年は、282.8〜283.0あたりが観測可能です。当会では、たまたま天候がよくない巡り合わせがあり、この範囲での観測が全くありません。どんな動向を見せるのか、楽しみにしたいと思います。



 
天showのコーナーへ戻る  FASのホームページへ戻る