ジャコビニ流星群は、時折多くの出現を見せる流星群です。今年はあまり出現する可能性は高くないのですが、興味があってかつ気合いのある方はぜひ観測してみましょう。
母天体のジャコビニ・チンナー彗星は約6.5年で一回りして太陽の近くに戻ってくる彗星です。周期に「0.5年」の半端があるため、一回りごとに帰ってくる時期が半年ずれ、春に戻ってくる場合と秋の場合が、交互になります。
地球は10月8日〜9日ころ彗星軌道と接近しますので、秋に戻ってくる2回りごと(13年ごと)に、彗星と地球は接近します。
流星の元になる彗星から放出された砂粒は、彗星の近くを一緒に移動してますので、彗星が地球に接近するときには、彗星の前後に砂粒もたくさん戻ってきます。この砂粒の流れの中を地球が通過すると大出現となるため、13年に一度、流星の大出現するチャンスが巡ってくるわけです。接近した年と出現状況は、下記の通りです。
彗星の地球軌道 への接近 | 接近距離 (AU) | 流星 観測年 | 流星の出現状況概要 | タイムラグ |
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1926.12.18 | 0.001 | 1926 | 小出現 | 69日前 |
1933.07.21 | 0.007 | 1933 | ヨーロッパで流星雨 | 80日後 |
1940.02.23 | 0.003 | 1939 | 136日前 | |
1940 | 229日後 | |||
1946.09.24 | 0.003 | 1946 | アメリカで流星雨 | 15日後 |
1953.04.23 | 0.004 | 1952 | 電波観測で大出現 | 195日前 |
1953 | 170日後 | |||
1959.10.31 | 0.058 | 1959 | 22日前 | |
1966.04.02 | 0.061 | 1965 | 175日前 | |
1966 | 191日後 | |||
1972.08.11 | 0.001 | 1972 | 電波観測で出現 | 59日後 |
1979.02.18 | 0.003 | 1978 | 133日前 | |
1979 | 232日後 | |||
1985.09.11 | 0.034 | 1985 | 日本で数100/時 | 27日後 |
1992.04.19 | 0.040 | 1991 | 193日前 | |
1992 | 172日後 | |||
1998.11.27 | 0.040 | 1998 | 日本で約100/時 | 50日前 |
1999 | 日本で約30/時 | 316日後 | ||
2000? | ? | 681日後 |
タイムラグ(彗星が通過してから地球が通過するまでの日数)が13年おきに小さくなり、そのうちの4度、大出現を起こしていることがわかります。
一方、流星の粒が彗星からかなり離れると、木星の重力の影響を彗星とは別に受け、軌道がかなり変わったり、接近する時期が変化したりすることがあります。
近年目立ったのは1998年に出現した、ポン・ウィネッケ彗星に関連する流星群です。彗星は1996年に、地球軌道から少し離れた場所を通過したのですが、それから2年も経過してからかなりの大出現を見せました。これは彗星からかなり前(この場合前世紀の半ば頃)に放出した粒が、流星となって出現したらしいことがわかってきました。
ジャコビニ群の場合も、怪鳥の怪しい計算(笑)では、今世紀の始め頃に放出された砂粒が、彗星からだいぶ遅れて今年頃、地球軌道にやや接近しそうです。見事な出現にはならないでしょうが、「1時間に数個程度は流れるかもしれない」と、期待してます。
ジャコビニ群の流星はふわーっとした感じでゆっくりと流れますので、こんな流星が夕方、北西の方から流れてくるように見えたら、ジャコビニ群だと思って間違い有りません。
一般的に予想される極大は、10月8日の午前中(1998年の極大から計算)や、10月8日夕方(彗星軌道から計算)などです。また怪鳥の怪しい計算からは、少し早まって10月7日の夕方になる可能性もあると思ってます。したがって、10月7日の夜、10月8日の夜の2晩が観測チャンスでしょう。
期待度は非常に薄い流星群ですが「流れないことを確認すること」も重要な観測となります。もしよろしかったら、空を見上げてみてはいかがでしょうか。
FAS府中天文同好会では7日の晩と8日の晩に、観測する予定です。観測できましたら、こちらにご報告致します。