2001年のふたご座流星群の情報

 毎年見られるふたご座流星群ですが、今年はしし座流星群の影響で、世間では再び注目されています。12月14日頃極大となるこの流星群の簡単な紹介です。


●観測報告

 当会は極大を過ぎた12月14日晩〜15日未明に観測を行いました。その結果をご報告します。
Dec.14-15/2001
Time          min   Ls      h    Lm  Cl All Gem   HR  CHR  ZHR   Obs.        Rec.
--------------+--+-------+-----+----+--+---+---+----+----+-----+------------+------------
22h30m-23h00m  30  262.62  54.5  5.3  0  24  19   38   67   91  寺久保 一巳 佐藤 智子
23h00m-23h30m  30  262.64  60.5  5.6  0  26  21   42   64   79  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
23h30m-24h00m  30  262.66  66.7  5.2  0  27  23   46   85   96  佐藤 智子   佐藤 幹哉
00h00m-00h30m  30  262.68  72.8  5.6  0  10   8   16   24   26  寺久保 一巳 佐藤 智子
00h30m-01h00m  30  262.70  78.9  5.5  0  33  30   60   96   99  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
01h00m-01h30m  30  262.73  84.8  5.3  0  21  16   32   56   57  佐藤 智子   佐藤 幹哉
01h30m-02h00m  30  262.75  87.1  5.6  0  23  19   38   58   58  寺久保 一巳 佐藤 智子
02h00m-02h30m  30  262.77  81.8  5.3  0  36  29   58  102  104  佐藤 幹哉   寺久保 一巳
02h30m-03h00m  30  262.79  75.8  5.3  0  24  20   40   70   74  佐藤 智子   佐藤 幹哉
03h00m-03h30m  30  262.81  69.7  5.3  0  16  11   22   39   43  寺久保 一巳 佐藤 智子

観測地:山梨県鳴沢村
 左から、開始-終了時刻(Time)、観測時間(min)、太陽黄経(Ls,2000)、輻射点高度(h)、最微星光度(Lm)、雲量(Cl)、全流星数(All)、ふたご群流星数(Gem)、一時間当たりの流星数(HR)、修正一時間流星数(CHR)、天頂修正流星数(ZHR)、観測者(Obs.)、記録者(Rec.)です。

 今年の極大は14日の昼間にあたったため、当会での観測は極大を過ぎた後となりました。HRはおーよそ40〜60程度でした。グラフや表からは明確にはわかりませんが、実際観測していると、増減を繰り返しながら、ちょっとずつ数を減らしていた印象がありました。

 ただふたご群は時折、2連発(ときには4連発)をするなど、偏った流れ方をしていたため、この回数が多くなると突然流星数が増え、逆に全く流れない時間帯が10数分続いてHRが減ったりと、差はかなり激しく思えました。
 全体的には明るい流星も多く、最近のふたご群はかなり見応えのある流星群になってきているようです(以前は数が多いものの、地味な流星が多かったものでした)。

 ちなみに、当会で観測できた火球は、24時49分06秒(-4等)、25時28分34秒(-3等)、25時44分23秒(-3等)の3個でした。

 当会の観測も、今年で6年目(観測できたのは4年目)となり、おぼろげながら(グラフのように)全体像が見えてきました。ただ実際には私たちが観測した前夜(13日晩〜14日明け方)には、HRが100を越え、ZHRで150ほどの非常に活発な活動が観測された模様です。まだこの極大の期間の観測が全くできてないのが残念です。今後も取り組んでいきたいと思います。


以下事前に掲載した情報

●概要

 ふたご座流星群は、毎年1時間あたり50個ほど流れる流星群で、年間を通じても8月のペルセ群とならんで多く流れる流星群です。
 流星雨になった記録は全くありませんが、近年は1時間に100個を超えることもあるなど、年々少しずつ増加傾向にあるのではないか、といわれています。

 上のグラフは当会における観測結果です。値はZHRといって、理想的な空で1時間あたりに見られると推定される流星数に補正してあります。ペルセウス座流星群のように、夏休みなどではないため、観測数が少ないのですが、一般的に太陽黄経という値が262辺りで極大を迎えるとされ、大ざっぱにそのような傾向が観測されてます。
 ふたご群はおよそ20時〜5時のほぼ一晩中観測が可能です。今年の時間帯の目盛をグラフの下に表示して、観測可能な時間帯を塗りつぶしてみました。

 すると今年は極大は12月14日の昼間にあたってしまうため、その前後にあたる12月13日晩〜14日明け方、14日晩〜15日明け方の2日が見やすい時期となります。グラフ上は前者の方が多そうですが、実際には観測してみないとわかりません。

●実際の空での見え方

 ふたご群の実際の見え方は下図のようになります。

 ふたご群は、輻射点がふたご座のカストルの近くにあります。今年は木星も近くにあり、わかりやすいと思われます。流星は、あたかもこの輻射点の方向から四方八方に飛び出しているかのように、見られます。

 ふたご群の輻射点は、図の通り真夜中を過ぎた頃、天頂付近(頭の真上)近くにきます。このため、この時間帯に見ると、流星は天頂からまるで降ってきているかのように見られます。地平線では垂直に突き刺さるようになります。

●どのくらい流れるか?

 11月のしし座流星群が流星雨となり、このふたご群もそうなるかのごとく誤解されそうですが、おそらく流星雨にはなりません。
 過去の経験上、多くても空の条件の好いところで1時間に100個程度、市街地ではその半分〜数分の1です。今年のしし座流星群が、1時間あたり数千個でしたから、それと比較すると数十分の一の規模ということになります。

 しかしながら、流星群というのは普通はこのようなものです。ふたご群はむしろとても多く流れる流星群です。そのようなことを頭に入れて、眺めていただきたいと思います。

●どうやって見る?

 基本的にはグランドシートや銀マットなどの上に寝っ転がって、頭の真上を見るのが普通です。しかし地平線近くも結構流れますので、学術的な観測をするのでなければ、無理のない姿勢でよろしいかと思います。
 流星自体は、ほぼ全天にまんべんなく流れますので、視界の広い場所の方が適していることは間違いないです。

 観測する場所は、空が暗ければ暗いほどよい条件となります。冬の天の川が見えるような観測地ならばベストでしょう。そこまで遠征できない場合でも、街灯が視界に入らないようにするなど工夫をすると、見やすくなります。

 当然この時期は寒いので、防寒、特に腰や足には気をつけましょう。当会でも1月のしぶんぎ群とならんで、最も過酷(寒い)な観測会となり、防寒下着やダウンジャケットを着込むなど、厳重な対策でのぞんでいます。


 FAS府中天文同好会では、12月14日の晩に観測を予定しています。成功した場合には、観測結果をご紹介したいと思います。



 
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