この彗星は地球に非常に接近する軌道を描いていて、もしあと40日遅くやってきていたら、地球に約180万kmまで近づいて0等の大彗星として見られたことでしょう。
これに対して太陽の周りをまわる周期彗星の場合には、過去に太陽に接近したときに放出された砂粒が、周回する間に彗星から比較的離れて、流星群が見られる可能性が大きくなります。
流星群名・母天体名 ・周期 | 該当年 | 彗星通過 との日数差 | 軌道間距離 | 流星 出現状況 | |
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ペルセウス座流星群 スイフト・タットル彗星 周期:約130年 |
1991年 | 約500日前 | 0.000012AU | 約2千km | HR=数百 |
1992年 | 約140日前 | HR=数百 | |||
1993年 | 約220日後 | HR=数百 | |||
しし座流星群 テンペル・タットル彗星 周期:約33年 |
1966年 | 約560日後 | 0.0020AU | 約30万km | 大流星雨 |
1997年 | 約100日前 | 0.0069AU | 約100万km | HR=数十 | |
1998年 | 約260日後 | HR=数十〜数百 | |||
1999年 | 約630日後 | ? | |||
リニアー彗星(1999J3) 周期:約7万年 |
1998年 | 約320日前 | 0.012AU | 約180万km | 特に確認されず |
1999年 | 約40日後 | ? |
ペルセ群の場合、彗星軌道とはとても接近してましたが、出現は1時間あたり(HR)数百レベルどまりでした。しし群では軌道はペルセ群より遠いのですが、1966年などは大流星雨が見られています。ただしこれらの彗星は、惑星の重力の影響で若干軌道が変わるため、一概には比較できません。
リニアー彗星の条件は、これらの群のケースより距離は離れているものの、彗星通過とのタイムラグは40日と短いため、彗星に比較的近い濃密な砂粒の帯の中を、ちょっとでも地球がかすって通過すれば、多少の流星が出現する可能性があるというところでしょうか。
しかし約7万年というとても長い周期を考慮すると、放出された砂粒は数年の誤差を経て帰ってきてもおかしくありません。しかしながら昨年など、特に流星が突発出現したというような記録もなく、これはマイナス材料の一つです。
彗星軌道と地球軌道の交差する部分を地球が通過するのは、11月12日明け方4時40分頃です。したがって極大もこの頃が予想されます。
もし流星が流れた場合の輻射点は、おおくま座の北斗七星のひしゃく部分です。明け方は北東の空に上るので、この方向から流星が流れてくるように見えたら、リニアー彗星からの流星群の可能性が高くなります。
予想される流星の速度はペルセ群とほぼ同じ程度で、やや速めの流星が流れるでしょう。
ということで流星雨とまではいかないでしょうが、今まで見られてない流星群が今年だけ観測される可能性があります。気合いがあれば、11月12日の明け方、流星が流れてないかどうか、観望してみてはいかがでしょうか。