C/2002 V1 Comet NEAT
NEATチームが発見した新彗星です。2003年1月〜2月に明るくなりそうです。
<概要>
この彗星はNASAのジェット推進研究所(JPL)にあるNEAT(NEAR-EARTH ASTEROID TRACKING)のチームが、昨年11月6日に発見した新彗星です。NEAT彗星も数多くあるため、仮符号を合わせて「NEAT(2002 V1)」と表現されることが多いです。
発見時は17等ととても暗い彗星でしたが、増光するペースが予想以上に大きく、年末には約8等と小口径望遠鏡でも見えるほどになりました。
この彗星の特徴は太陽にとても近づくことです。最接近(近日点通過)は2月18日で、距離は0.099AU(地球−太陽間の約10分の1)です。一般的に太陽に彗星が近づくと、活動が活発化してとても明るくなり、またその姿も立派になります。そんな理由で今注目を浴びている彗星です。
彗星は現在夕方の南西の空で、条件好く観測できます。今後少しずつ高度が下がりますが、2月10日ころまでぎりぎり観測可能と予測されます。
<光度予想について>
彗星の光度予報は難しく、ある程度の予想ができても、彗星ごとに違うパターンをみせます。また同じ彗星でも途中で大増光したり、逆に増光が鈍くなったりします。
NEAT彗星(2002 V1)は、年末まで右のグラフの通りハイピッチで増光したため、このまま増光するととても明るくなると期待されました。しかし、1月に入った頃から伸びが鈍り、現在は普通の彗星程度のペースで増光しています。このままでも、2月上旬には3等くらいまで明るくなるのではないかと期待されます。
一方で小規模な彗星が太陽に近づきすぎると、彗星の揮発物質(水や二酸化炭素)が全て気体となってしまい、消滅することが多いです。この彗星がどのような挙動を示すか興味深いところです。
(※光度観測は、ICQ/CBAT/MPCのRecent Comet Magnitudesを使用しました。ただしこれらは暫定観測値です。)
<位置概略>
●夕方の南西〜西の空
(関東付近・日没1時間後の空)
彗星は夕方の空に見られます。日々高度を下げて条件は悪くなっていきますが、明るさ(彗星の位置にある2桁の数字が予想光度:例43→4.3等)は徐々に増光します。
はたして肉眼で楽に見えるほどの彗星になるでしょうか。
●星図上の位置
(21時の位置)
彗星はうお座とペガスス座の境界付近から、みずがめ座方向へと移動しています。こららは秋の星座になり、冬の夕方では徐々に条件が悪くなっていくことがわかります。
図はStellaNavigator(AstroArts/ASCII)を元に、加工して作図しました。
●SOHO LASCO C3視野中の動き
(9時:世界時0時の位置)
彗星は太陽に見かけ上も接近するため、太陽観測衛星SOHOの視野の中に2/16頃現れます。この後2/21頃まで視野の中を移動しますが、どのような挙動を見せるのか(消滅?)とても楽しみです。
SOHOの画像はLatest SOHO Imagesの中の「Images by date SOHO summary data:」で該当の日付をクリックすることで見ることができます。この中の「SOHO LASCO: C3」の画像をご覧下さい(以下はピックアップ−時刻は世界時)。
また、The latest LASCO C3 images(1024×1024)・(512×512)・(256×256)では、さらに細かい時間の画像を見ることができます。
なお視野内を彗星が通過中、CME現象が起こり、興味深い画像が見られました。こちらにGIF動画を起きましたので、よかったらご覧下さい(画像は571KBでちょっと大きめです)。
<観測報告>
- 2003.2.1 夕方
当会は山梨県の御坂町で観望しました。25cm反射を使って、かろうじて尾が伸びているのがわかりました。ただし、甲府方面の光害ともやの影響で、あまりはっきりとした感じに見られなかったのは、ちょっと残念でした。河口湖〜朝霧高原方面で曇ってしまったためこちらに移動したのですが、そちらが晴れていればもう少しはっきり見えたと思われます。
観測地:山梨県御坂町
- 2003.1.21 夕方
透明度が良かったので、自宅府中の物干しから狙ってみました。5cm屈折でははっきりわからかったため、12cm反射(18倍・29倍)で確認しました。彗星はかなり広がっており、このためか府中の光害の影響が大きいようで、約7.5等と暗めでした。空が暗ければもう少し明るく見えるのではないかと思います。
尾は残念ながらほとんどわかりませんでした。右は怪鳥のつたないスケッチです。
観測地:東京都府中市
- 2003.1.4 夕方
当会は観測旅行中に、この彗星を25cm反射で観望しました。風が非常に強かったためざっと観望しただけですが、およそ8等くらいで、割と大きな姿が印象的でした。尾ははっきりしませんでした。
観測地:静岡県伊東市
<軌道要素>
<リンク>
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